アフィリエイト事業大手のバリューコマースは、12月17日より「Gift Smart」をサービス開始する。この新事業は、スマートフォンを使って相手に手軽にプレゼントを贈れる“ソーシャルギフト”と呼ばれる習慣をサポートするもの。「Gift Smart」を開始するにあたり、同サービスのメリットや展望について、バリューコマース・事業開発本部・本部長 古屋裕太さんと事業推進部・事業推進チーム 沼田雅之さんにお話をうかがった。

バリューコマース・事業開発本部・本部長 古屋裕太さん

バリューコマース・事業開発本部・事業推進部・事業推進チーム 沼田雅之さん

――まず「Gift Smart」をスタートさせる経緯とサービスの概要について教えてください。

古屋裕太さん(以下、古屋さん):弊社の主力はアフィリエイト事業になりますが、それとは異なる新規事業の立ち上げも模索しております。いくつか新規事業の展開を考えておりますが、その内のひとつがこの「Gift Smart」になります。足かけ1年以上準備してきた事業ですが、いよいよローンチにこぎ着けたという状況です。

沼田雅之さん(以下、沼田さん):「Gift Smart」のサービスについてですが、これは“ソーシャルギフト”を提供するプラットフォームです。ソーシャルギフトとは、スマートフォンやタブレット、パソコンを使ってプレゼントを購入し、それをLINEやFacebookなどのソーシャルメディアを通じて贈り先に送信。メッセージをもらった人が店舗やオンラインサイトなどでプレゼントをもらえるギフトのことです。韓国では、kt mhoawsという企業が「giftishow」というソーシャルギフトサービスを展開しており、昨年度は販売金額100億円を突破しました。今回、このkt mhaowsと弊社が提携して「Gift Smart」をスタートさせます。

ソーシャルギフトの概念

――ソーシャルギフトのメリットは何でしょうか。また、サービスの対象は個人なのでしょうか。

沼田さん:ソーシャルギフトの利点はいくつかありますが、最大のメリットはギフトの贈り先の住所を知らなくてもプレゼントできることでしょう。実際の友人・知人はもちろんのこと、ソーシャルメディア上の友人にもギフトを贈ることができます。また、サービス対象については、個人だけでなく法人も視野に入れています。たとえば企業がキャンペーン景品を贈る際に「Gift Smart」をご利用いただいたり、福利厚生の一環として社員にプレゼントを贈ったりできます。営業マンが顧客に対しプレゼントを贈る“販促ツール”としての利用も可能でしょう。また、ポイントサイトのポイントを「Gift Smart」を使って商品に替えていただくといったことも考えています。

企業利用の一例

古屋さん:個人間ギフトにおいては“手軽にギフトを贈れるコミュニケーションツール”として、企業においては“O2O(オンライン トゥー オフライン)”を実現する場として「Gift Smart」をご利用いただけると思います。

――韓国ではソーシャルギフト市場が先行しているとお話しにありましたが、日本市場での展望はいかがでしょう。

沼田さん:日本では、誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントなどが広く浸透しているうえ、お歳暮やお中元などといった独自の贈品習慣もあります。それを考えると、日本は“贈りもの文化”がとても発達した市場といえるでしょう。こうしたイベントや季節ごとに贈る“フォーマルギフト”に対し、いつでもどこからでもプレゼントを贈れるソーシャルギフトは“カジュアルギフト”と呼べます。プレゼントを贈る習慣が根づいている日本人であれば、カジュアルギフトが浸透するのも早いと思います。2020年には770億円の市場規模になるとしている調査もあります(出典:矢野経済研究所)。

古屋さん:今、沼田が申し上げた「いつでも」というのがカジュアルギフトのポイントなのです。お歳暮やお中元などのフォーマルギフトは贈りものの時期が決まっているので、店舗にとって商戦が限られてしまいます。一方、カジュアルギフトは時期に縛られませんので、店舗からみると常に販売機会に恵まれるということになります。そうしたカジュアルギフトの販売チャネルの一角として「Gift Smart」をご利用いただけたらと思っています。

――「Gift Smart」の強みはなんでしょうか。

古屋さん:ヤフー株式会社のグループ会社としてアフィリエイト事業を展開するネットワークが最大の強みといえるでしょう。弊社サイトでの販売に加え、アフィリエイトで連携する大手メディアをはじめとした多数の媒体で「Gift Smart」を展開できます。同サービスに出品していただくことで、店舗の販売金額拡大の一助となればと思っています。

――マイナビニュースもそのネットワークの一部なんですね。

古屋さん・沼田さん:もちろんです!(笑)

スタート時の「Gift Smart」サイト

――最後に「Gift Smart」の長期的な展望をお聞かせください。

沼田さん:ソーシャルギフトは20~30代の女性が最初のユーザーになると考えています。そのため当初は、そうしたユーザーが利用しやすい店舗10数店ほどで開始しますが、数年後には数十、数百まで規模を拡大していきたいです。また現在、クレジットカードのみですが、決済方法を増やしてユーザーの方々の利便性向上に取り組みたいです。

古屋さん:まずはちょっとしたギフトとして利用しやすいスイーツショップやコーヒーショップなどに「Gift Smart」をご利用していただきたいです。そして、いずれはカジュアルギフトだけでなく、フォーマルギフトにも使っていただければと思います。「Gift Smart」でお歳暮を買っていただき、お世話になった方へそのメッセージを送付。メッセージを受け取っていただいた方がデパートでお歳暮を受け取る……そんな利用シーンが築けるようにしたいと思います。

「Gift Smart」の利用イメージ。プレゼントに贈った商品の概要と引き替え時に読み取るバーコードに加え、「おめでとう」「ありがとう」のメッセージカードや任意の画像を添えられる

――以上、ありがとうございました。

まだ、日本ではあまり浸透していないソーシャルギフト。だが、日本人には誕生日やクリスマス、バレンタインなどにプレゼントを贈る習慣が深く根づいている。ソーシャルギフトのプラットフォームが広がれば、ちょっとしたギフトで“感謝の気持ち”や“何かの節目を祝う気持ち”を表すユーザーは少なくないはずだ。今後の広がりが気になる事業といえる。