IDC Japanは11月19日、2013年の国内DLP(Data Loss Prevention)市場規模実績と2018年までの予測を発表した。
これによると、2013年の国内DLP市場の市場規模は51億円で前年比成長率が19.9%だった。
IDCの情報セキュリティ市場定義では、DLP市場はセキュアコンテンツ/脅威管理市場に含まれるサブマーケットで、IDCでは同市場を、データの移動時や利用時にデータを検出/ブロックするネットワークDLP、クライアントPCやサーバーなどエンドポイント上の機密データの利用を検知/制御するホストDLPと、機密データの格納場所をスキャンするディスカバリーDLPなどの製品を対象とした調査を実施している。また同市場には、ソフトウェア製品とアプライアンス製品が含まれる。
IDCが1月に実施したユーザー調査では、「社員によるデータ窃盗/破壊」と「内部関係者によるデータ窃盗/破壊」で、5割以上の企業が「脅威である」と回答。このことから、半数以上の企業は、アクセス権を持ったユーザーによる不正行為に懸念を持っていると考えられる。
DLP製品を導入済みの企業は4.7%と1割未満だが、導入を検討している企業は3割で、前年調査と比べて9.0ポイント上昇していることから、今後導入が進んでいくとIDCではみている。また、DLP製品の導入では、導入費用と導入効果、導入作業が大きな課題となっており、導入は部門導入から全社導入に広がるケースも多いことが判明した。
上記のような市場背景により、国内DLP市場は、巧妙化する標的型サイバー攻撃やモバイルデバイスの利用増大による情報漏洩リスクの高まりから、2014年以降もPCやサーバー、モバイルデバイス上での情報漏洩対策であるホストDLPの需要が高く、市場拡大をけん引するとみている。同市場の2013年から2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.3%で、市場規模は2013年の51億円から2018年には95億円に拡大すると予測している。
IDC Japanの登坂 恒夫氏は、「ベンダーは、低コストで機能追加が行えるなど拡張性のあるソリューションを提案していくべきである。そして、顧客情報や知的財産を保持もしくは管理している部門や機密情報の取り扱いに対するポリシーが明確になっている部門から、目的に合った機能に限定したソリューションで導入を進めていくなど、導入目的を明確化し導入時の初期投資を抑えながら、導入効果が期待できるエリアでの提案を進めていく必要がある」と述べている。