LINEは10月9日、年次イベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2014」を開催した。2012年に開始した同イベントは、今年で3年目。2013年と同じ舞浜アンフィシアターで行われた。

主な発表内容は登録ユーザー数が世界5億6000万人を突破したこと、月間アクティブユーザー数(MAU)がグローバルで約1億7000万人であること。そしてLINE上で決済ができる「LINE Pay」やLINEでタクシーが呼べる「LINE TAXI」などの新サービスに加え、企業向けアカウント「LINE@」が個人でも利用可能になるといった盛りだくさんの内容だった。出版社やゲーム会社、音楽会社との事業提携も明かした。

ここではLINE 上級執行役員 法人ビジネス担当 田端信太郎氏の発表内容を基に、LINEのマーケティング、ビジネス面での話題を取り上げたい。田端氏の発表では、2014年2月に発表したLINEと企業システムの連携サービス「LINEビジネスコネクト」の事例や、懸念されるセキュリティ面に対するLINE側の考え、今後の構想などが紹介された。

LINE 上級執行役員 法人ビジネス担当 田端信太郎氏

LINEをビジネスで使うと聞いてどう思う?

LINEは国内人口の約40%に当たる5200万人が登録している(2014年9月発表時点)プラットフォームに成長した。そんなLINEをビジネスで使うと聞いて、率直にどのような感想を持つだろうか。

田端氏は、「もしかしたら不安感を持った人もいたかもしれない」とし、その理由として「LINEは個人と個人のプライベートでパーソナルなコミュニケーションツールとしてスタートした。それなのに、企業がビジネスに利用する、あるいはマーケティング活動に利用すると聞くと、親しい人との空間に土足で踏み込まれた、そんな懸念があったかもしれない」と話した。

LINEが企業向けに用意している主なサービスは、「公式アカウント」「スポンサードスタンプ」「LINEビジネスコネクト」の3点。

LINEの公式アカウントは、企業がLINEをマーケティングプラットフォームとして使う際に、基本となるもの。公式アカウントから送られるメッセージは、顧客側が自発的に友達登録し、来店や購買といったアクションを引き起こす手段として評価を得ているという。グローバル全体で、既に750の企業あるいは組織がLINEの公式アカウントを利用している。

スポンサードスタンプは、自社のキャラクターなどをLINEスタンプ化してユーザーに無料配布するもの。企業が掲載費を負担し、その中で企業の販促物あるいはキャラクターが出てくる点では広告と捉えられる可能性がある。しかしLINEのスポンサードスタンプが従来のテレビCMやWebのバナー広告と異なるのは、LINEユーザーが自分の意思で選んで利用していること。見たくないものが勝手に表示される嫌悪感はなく、無視されることもない。最近ではテレビCMと連動して自社のスポンサードスタンプを紹介する、といった取り組みも行われている。

CRM分野で注目のLINEビジネスコネクト、活用事例が続々と

そしてLINEビジネスコネクトは、「LINEが人と商品・サービス、人とビジネス、人と社会をつなぐ」世界を実現するための中核をなすサービスとなる。LINEがメッセージ送受信のAPIを提供することで、企業が持つ既存のシステムや顧客データベースと連携。1人1人のユーザーに最適なメッセージ配信ができるというものだ。

LINEビジネスコネクトは、マツモトキヨシのような小売業からH.I.S.のような旅行業、ソフトバンクのような通信キャリア、テレビ各局やリクルートのようなメディア業まで、幅広い企業で利用されている。

田端氏は代表的なものとして、日本郵便がスマートフォンに保存している画像を年賀状のデザイン素材に使い、LINEユーザーに送れるオーダーメード年賀状や、SBI証券がLINEのリアルタイム性を生かしてユーザーに株価の情報通知を行う事例、ガリバーが車の停車時間や位置をLINEを通じて通知する「DRIVE+」などを紹介。SBI証券については、株式発注や、約定通知(自分が指定した値段で取引が成立したかどうかを通知)での活用も検討中だという。