JR西日本は9月17日、定例社長会見において、北陸新幹線の長野-金沢駅間開通に向けて行われているフリーゲージトレイン(FGT)の開発状況について説明を行った。

フリーゲージトレインとは、新幹線1,435ミリメートル、在来線1,067ミリメートルという異なるレールの幅(軌間)を直通運転するために、車輪の間隔を軌間にあわせて自動的に変換できる車両。

北陸新幹線は2015年3月14日に長野-金沢間が開通し、2025年度には敦賀までの延伸が予定されている。その先の敦賀-大阪間はまだルート選定の見込みが立っておらず、大阪延伸が実現するまで、関西と北陸の間を移動されるお客様には敦賀駅での乗り換えが必要となるため、同社は新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレインの開発に取り組んでいる。

フリーゲージトレインの仕組み 資料:JR西日本

現在は、JR九州が長崎新幹線での適用に向け、鉄道・運輸機構の委託を受け、新たな試験車両による走行試験を実施しているが、同社は北陸新幹線に適したフリーゲージトレイン、北陸ルート仕様のフリーゲージトレインの実用化を目指して技術開発に取り組んでいる。

同社によると、北陸ルートには「交直流対応」「耐寒・耐雪」「地震対策」という3つの固有の課題があるという。

北陸ルートを走るフリーゲージトレインは、交流2万5,000ボルトの新幹線の区間と直流1,500ボルトの在来線の敦賀以南の区間、つまり異なる電化区間を通ることになる。さらに、今回のフリーゲージトレインは、在来線も走行するため新幹線より少し小さいものであるため、機器の小型化、軽量化、騒音を出さないといったことも課題となる。

北陸ルートの固有の課題 資料:JR西日本

これらの課題を解決するために検討した対策の効果を検証するため、敦賀駅の機関車庫の跡地に長さ約180メートルの実験線を敷設し、今年の10月から試作機による試験が開始される。

実験線では、車輪の間隔が変化する試作の台車(模擬台車)と、車輪の間隔を変える装置(軌間変換装置)を設置する。車体が付いていない試作台車単体を、けん引車を用いて軌間変換装置を通過させ、軌間変換の試験を行う。

フリーゲージトレインの実験線の仕組み 資料:JR西日本

同社は、今年度中にはフリーゲージトレイン試験車の設計・製作に着手する構えで、この試験車には、敦賀のGCE実験線での試験結果も反映させる。6両編成の試験車を製作し、走行試験を平成28年度中に開始する計画で、走行試験は、新幹線区間としては北陸新幹線、在来線区間は北陸本線と湖西線で実施する予定だという。