ブロケード コミュニケーションズ システムズは、米Brocadeが6月10日、クラウドプロバイダおよび通信事業者向けにオープンなモジュラー型ネットワークサービスを構築可能にするネットワーク・プラットフォーム「Brocade Vyatta Platform」を発表したことを受け、国内で説明会を開催した。

米Brocadeでは、新たにBrocade Software Networking BUという新たな組織を設立し、NFV、SDN、クラウドオーケストレーションに注力するという。

米Brocade ソフトウェア・ネットワーキング・マーケティング担当ディレクター James Kwon氏

その背景を、米Brocade ソフトウェア・ネットワーキング・マーケティング担当ディレクターで、Vyatta担当のJames Kwon氏は、「データセンターは以前は大手のエンタープライズ向けだったが、最近はクラウドサービスプロバイダに変わっている。大手企業はハイブリットクラウドを構築するために、プリベートクラウドからパブリッククラウドのデータセンターに変化している。われわれはこれらに対して、L3、ファイアウォール、VPNを提供している。そして今後は、データセンターの中心はクラウドサービスプロバイダから通信事業者になるだろう。それはNFVやSDNが台頭しているためだ。通信事業者はこれらの技術を使うことで、顧客に対し、より低価格なサービスを提供できる。この通信事業者にフィットするユニークなソリューションをもっているのがブロケードだ。そこで、NFV、SDNなどにフォーカスする新たなビジネスユニットを設立した」と説明した。

Brocade Vyatta Platformは、Intel X86ベースの仮想サーバ上で動作させるためのもので、仮想ルータ製品「Brocade Vyatta vRouter」、およびアプリケーション・デリバリ・コントローラのソフトウェア版「Brocade vADX」などを利用し、仮想ルーティング機能、ステートフル・ファイヤウォール機能、VPN機能、およびレイヤ4-7 ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラー)などの機能を提供する。

Brocade Vyatta Platform

Brocade Vyatta Platformは、サービスレイヤ、コントロールレイヤ、オーケストレーションレイヤの3つの層があり、サービスレイヤにはネットワーク機能、コンロトールレイヤには、OpenDaylightのSDNコントローラ、オーケストレーションにはOpenStackが含まれるという。そして、OpenStackと連携できるようBrocadeの製品は設計されているという。

サービスレイヤのVyatta vRouterには、サービスプロバイダ向けVyatta vRouter 5400のほか、今年4月に発売されたVyatta vRouter 5600がある。

5600では通信事業者のNFVの要求に準拠した新しいアーキテクチャが採用され、コントロールプレーンとルーティング、ファイアウォール、NATなどの機能を提供するデータプレーン(vPlane)が分離された。データプレーンのパケット転送には、専用のCPUコアを持たせることができるため、Intel DPDKにより、コアを追加することで、リニアにパフォーマンスを改善できるという。そのため、10Gbpsサーバ環境にも対応可能だという。

そして、5600のアーキテクチャをさらに進化させたVirtual Distributed Router(VDR)が来年の初頭に提供されるという。これは分散型ルータとなるという。

vRouterの進化

5600では、データプレーントとコントロールプレーンが1つの仮想サーバの中で1:1に対応して動作するが、VDRでは、1つのコントロールプレーンで、複数のVMにまたがったデータプレーンを管理できるという。これにより、1つのデータセンターの中で巨大なバーチャルルータを作成することができるという。

Virtual Distributed Router(VDR)

米Brocade ソフトウェア・ネットワーキング開発担当 最高技術責任者 兼 ソフトウェア・エンジニアリング担当シニアディレクター Robert Bays氏

米Brocade ソフトウェア・ネットワーキング開発担当 最高技術責任者 兼 ソフトウェア・エンジニアリング担当シニアディレクターRobert Bays氏は、「これはNFVの水平的なスケールだ」と述べた。

そして、VDRには2つのユースケースがあるという。

1つはVirtual Provider Edge(vPE)としての使い方で、通信事業者はCPEの顧客が増大した場合や変化に柔軟に対応できる。

そして、もう1つはMicro DataCenterへの対応だという。Micro DataCenteは非常に小さなデータセンターで、モバイル通信事業者の基地局を想定しているという。