エプソンと情報通信研究機構(以下、NICT)は、香川県坂出市で、それぞれが開発した技術を活用することにより、災害への迅速な対処が可能な新しい防災対応システムの実現可能性を探るために実証実験を5月末日より行っていると発表した。

本実験では、エプソンが2014年6月下旬に発売予定のスマートグラス「MOVERIO BT-200」を、NICTが災害時に利用可能なワイヤレス通信技術として、超高速インターネット衛星「きずな」と無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)との連携システムを提供。

「MOVERIO BT-200」装着時の視野(イメージ)

ワイヤレスミラーリングアダプター

「MOVERIO BT-200」は、眼鏡のようにかけて使用することで、目の前に大画面映像をシースルーで表示。着用時も両手を自由に使えるため、実際の視野に自分の必要な情報を重ねられることが特長となり、ワイヤレスミラーリングアダプターを同時に利用することで、無線で映像・音声をMOVERIOに転送可能。

今回、これらの両者の最新技術を併せて、防災対応システムを構築した。

坂出市実証実験システム構成図

システムのコンセプトは、まず無人機が災害現場を俯瞰して撮影。映像や撮影した位置の情報を、NICTの無線技術により、ほぼリアルタイムで地上の災害対策本部や災害現場へ転送。さらにこのデータを、エプソンのワイヤレスミラーリングアダプターから、スマートグラス「MOVERIO」へと再転送。

これにより、MOVERIOを着用した災害現場の救助隊員たちは、目の前の状況とMOVERIOに表示される上空からの映像を同時に見ることができ、現場でより正確な判断を迅速に下すことが可能になる。今回の実験では、このシステムが計画どおり情報を伝達することを実証。さらに、無人機の遠隔操作の際に、MOVERIOを活用するという新しい遠隔操作の方法も検証。

今後、両者はさらに実験や開発を重ねることによって、将来的な実用を目指していく。