1964年の新潟地震から今年は50年。発生した6月16日を前に、防災科学技術研究所(防災科研、茨城県つくば市)はインターネット上に「新潟地震オープンデータ特設サイト」を開設し、所蔵している被害の空中写真や調査資料を公開した。

図1. 昭和大橋の落橋と撮影者によるスケッチ(左上)右手の黒い煙は新潟精油所の火災(防災科研「1964年新潟地震オープンデータ特設サイト」から)

新潟地震は新潟県北部沖を震源とするマグニチュード7.5、新潟、山形、秋田の各県で被害があり、日本海沿岸には最高4mの津波が襲来した。石油タンク火災や橋の落下、アパートの倒壊などが起き、26人が死亡した。液状化現象も多発した。多くの被害が初めてリアルタイムで撮影された地震で、映像や写真はその後の耐震性向上に重要な役割を果たした。

図2. 約2週間燃え続けた昭和石油新潟精油所の火災(防災科研「1964年新潟地震オープンデータ特設サイト」から)

図3. 転倒した県営アパート4号棟(防災科研「1964年新潟地震オープンデータ特設サイト」から)

伊勢湾台風(1959年)の被害を受けて発足した国立防災科学技術センター(現・防災科研)の設立から1年後に発生した地震で、当時の研究員が現地に赴いて調査した。このため、防災科研は多くの独自の資料を所蔵している。今回、公開する空中写真は、地図と重なるように処理を施し、スナップ写真にもできる限り位置情報を加えて提供している。

信濃川に建設されたばかりの昭和大橋が液状化で崩れ落ちた様子やそのスケッチ、転倒した県営アパート、昭和石油新潟精油所の火災など、地震直後の写真からは生々しい被害がよくわかる。特設サイト上では、新潟地震の概要説明に加え、調査報告や論文、書籍などのリストも載せた。写真などはダウンロードして、出典を明記すれば、誰でも使える。

空中写真の公開範囲は今後、新潟市を中心に村上市や佐渡市に順次拡大していく。防災科研の自然災害情報室はこれまでも、伊勢湾台風やチリ地震津波についてほぼ50年を機に、写真などの記録を公開してきた。2011年の東日本大震災では特設サイトをすぐ設けて、研究情報を随時発信している。「これらのデータの活用で、あらためて震災の経験を振り返り、将来に生かす端緒としていただきたい」と訴えている。