一般的に「予約システム」というと、宿泊施設や交通機関の予約を思い浮かべる方が多いはずだ。しかし実は、こうした分野以外でも予約システムが役立つシーンは多い。
そこで、全業種対応のクラウド予約管理システム構築パッケージ「ChoiceRESERVE」を提供するリザーブリンク CMOの井出勝彦氏に、予約システムが持つ幅広い可能性について聞いた。
さまざまな業界・業種で活用できる予約システム「ChoiceRESERVE」
予約システムが一部の業界・業種にしか普及しづらい要因のひとつに、敷居の高さが挙げられる。予約システムの制作は予想以上に手間がかかるため、スクラッチ開発を依頼したものの費用面で折り合いが付かなかったり、自社開発を行うにも技術やノウハウ不足で断念するケースは多い。
特に中小規模の企業の場合、費用対効果に見合った結果が得づらいだろう。そこでリザーブリンクでは、2002年から宿泊施設向け予約システムの受託開発を行っていた経験を活かし、さまざまな業界・業種で使える予約システムのパッケージ化を実施。2008年から本格販売を開始したのである。
「弊社では宿泊施設や交通機関など予約が当たり前の業界ではなく、今まで予約の必要性を感じていたにもかかわらず、システム導入が進んでいなかったさまざまな業界をターゲットとしています。確かにスクラッチ開発と比べれば、各企業の要件に細かい部分までジャストフィットするのは難しいかもしれません。しかし、汎用性の高い各種機能の実装と低価格を実現することで、より多くの企業にご利用いただける予約システムに仕上がっています」と、井出氏はChoiceRESERVEの特徴を語る。
ChoiceRESERVEはクラウドサービスのため開発費用が一切かからないのはもちろん、スピード導入や利用プランに応じた価格帯から始められるのもポイント。そしてなにより、予約システム開発のパイオニアである同社の技術やノウハウを活かした、“ツボを押さえた”機能と使いやすさが魅力といえる。その実力は、幅広い業界・業種で1200社以上もの導入実績を誇ることからも明らかだ。
教育支援事業や美容業界でも大きな効果
それでは実際に、ChoiceRESERVEがどのような場所で使われているのかを見ていきたい。 まず、同社で全体の約2割を占めているのが、各種スクールやレッスンなどの教育支援事業だ。近年は“学ぶこと”に対するニーズの多様化が進んでおり、予約システムの導入が増えているそうだ。
たとえば学校法人服部学園 服部栄養専門学校では、生徒獲得に向けたオープンキャンパスの予約管理用にChoiceRESERVEを導入した。インターネット経由での予約が全体の約8割に増えた結果、一日の予約管理に費やす時間は従来の電話予約と比べて約3分の1にまで削減。また、予約数自体は前年比で約20%も増加したそうだ。これは窓口の拡大に加え、スマートフォンから手軽に予約できる利便性が大きな効果を発揮したといえる。
サロン・ネイル・エステなどの美容関連も、予約システムの活用が多い業界のひとつだ。店舗およびECサイトによる自然派化粧品・石鹸・入浴剤などの販売に加え、本格的英国式スパ展開しているサロンで、来店予約用に ChoiceRESERVEを導入したところ、予約の約80%がインターネット経由へと移行。予約受付が自動化されることにより、セラピストが施術に集中できる環境を実現している。また、自然派化粧品・石鹸を取り扱うリアル店舗にスパの予約空き情報を掲載し、認知度の向上を図っているそうだ。
売上アップと高品位な顧客情報の獲得も実現
施設関連では、公益財団法人東京都公園協会が管理運営する都立公園や庭園、水上バスなどの情報サイト「公園へ行こう!」で、公園バーベキュー場の予約管理用にChoiceRESERVEを採用している。
予約システムを導入するまで、同協会では施設を予約する際に1ヶ月前から受け付けていたが、行楽シーズンになると予約開始から1週間ほど電話が鳴りっぱなしという状況に陥っていた。 こうした背景から、同協会は電話がつながりにくく、なかなか予約ができない、というお客様のストレスを軽減するべく、予約システムを導入。結果として電話予約が徐々に減少した。 電話でご予約いただいたお客様には、器材レンタルや追加食材などのオプションサービスの紹介を行っていたが、一人あたりの電話対応時間が長くなり、電話がつながりにくくなる理由のひとつとなっていた。 予約システム上では、こうしたオプションサービスも選択できるようにしたため、お客様がより自由にバーベキュースタイルを楽しむことを可能にした。こうしたサービスも、売上アップに貢献している。
経験とノウハウを凝縮した大手企業も納得のクオリティ
大手企業では、40ヶ国229都市・空港に定期便を運行している某航空会社の会員向けラウンジ予約用にChoiceRESERVEを採用している。同社では当初、社内でのシステム構築を検討していたが、コストと使いやすさの観点から社外予約システムの選定を開始。
機能と利便性はもちろん、同社の厳しいセキュリティ基準を満たす製品としてChoiceRESERVEが選ばれた。 導入後は、紙の予約台帳で管理していた頃と比べて対応時間が限りなくゼロに近づき、全体で3~4倍以上の効率化を実現。そして、当初想定していた予約システムの使い方に関する問い合わせがほとんどなかったことにも驚いたそうだ。こうした点に、リザーブリンクが今まで培ってきた予約システムのノウハウが感じられる。
資産価値の高い顧客情報をマーケティングに活用
予約システムを導入するメリットは、単なる業務効率の向上だけにとどまらない。注目すべきは、予約によって得られる顧客情報の質だ。 井出氏は「プレゼントキャンペーンやアンケートでは、生年月日や設問に適当な内容を入力することが多く、決して質の高い情報とはいえません。しかし、予約の場合は自分たちがこれからサービスを利用するにあたり、できるだけ正確な情報を入力します。クリニックやカウンセリング、コーディネートサービスなどでは特にその傾向が強いでしょう」と語る。
また、予約は“能動的に行うもの”という点も非常に重要だ。「予約をする顧客は極めてモチベーションが高く、こうした確度の高いターゲットに対してマーケティング活動を行うことは、売上の拡大に結び付きます。 現在、予約システムの導入理由は大半が業務効率の向上・業務負荷の削減であり、費用対効果を考えて導入を見送っている企業も多い。しかし、予約システムを使うことで資産価値の高い情報を継続的に蓄積し、それをマーケティングに活用できればまさに一石二鳥。業務効率化と売上拡大を同時に実現する、企業にとって夢のようなソリューションになり得るのである。
実際、ChoiceRESERVEの導入企業でも売上拡大に結び付いた企業は非常に多い。市場競争の激しい業界では特に、こうした予約システムと売上アップの関係性に“気づけるか”がシェア拡大の鍵となるだろう。
また、今まで予約システムと無縁だった業界で、新しい活用方法が見出せる場合もある。たとえば家電量販店では近年、スタッフから製品の説明を受けて帰宅し、価格が安いネットショップで購入するケースが目立っている。こうした動きを食い止めるべく、スムーズかつ理想の家電が購入できる予約制のコンシェルジュサービスを導入するのも一案だ。
こうした新しい市場ニーズに応えるべく、リザーブリンクでは専門の研究部門を設け、予約システムに必要な概念や機能、そしてマーケティング活用法などの研究を日々重ねている。
そして1ヶ月あたり20万件という膨大な予約処理数をベースに、今後は顧客が持つ予約情報の付加価値をさらに高める取り組みも実施予定だ。
井出氏は最後に「弊社にとって、予約システムの導入で業務効率が向上するのは当然であり、それ以上にマーケティング活用と売上アップにつなげることが重要だと考えています。そして、さまざまな業界で潜在的なニーズがある予約システムの効果を、より多くの方々に知っていただけたら幸いです」と、予約システムに対する熱い想いを語ってくれた。