米国Citrix Systemsは5月6日から8日までの3日間、米国アナハイムにおいて年次テクニカルカンファレンス「Citrix Synergy 2014」を開催している。世界66カ国から1万人の登録があり、3日間で300時間のセッションを開催。スポンサーも81社に上る。

同社は今年で25周年を迎える。初日の基調講演には、退任を決めたCEO、Mark Templeton(マーク・テンプルトン)氏が登壇。同社が掲げる「Mobile Workspace」戦略を具現化する「Citrix Workspace Suite」と「Workspace Service」を発表した。(関連記事)

会場となった「アナハイムコンベンションセンター」。展示会場には、Intel DellやHP、Googleなどもブースを構えた

Microsoft、Google、Appleは"ある"視点が欠落している!

Citrix SystemsのCEO、Mark Templeton氏

Workspace Suiteは、「XenDesktop」「XenApp」「XenMobile」「ShareFile」の4製品を包含したスイートである。アプリケーション/デスクトップの仮想化、モバイルアプリケーション/デバイスの管理、データの共有/同期といった機能を、統合されたソリューションとして提供する。同スイートにより企業は、ユーザーのコンピューティング環境を一元的に管理することが可能だ。

Workspace Serviceは、DaaS(Desktop as a Service)を提供するクラウドベースのプラットフォームである。「Microsoft Azure」上で構築されており、Amazonの「AWS」やMicrosoftの「Azure」、Ciscoの「Intercloud」などをサポートしている。

Mobile Workspaceのポートフォリオ

Templeton氏はMobile Workspaceの特徴として「ユーザーが(デバイスやデータを)所有する概念から解放されること」であると説く。

また、同氏は「MicrosoftやGoogle、Appleといったベンダーのデバイスやサービスに対するスタンスは、ある視点が欠落している。個人的な見解だが、『モバイルファースト』や『クラウドファースト』は、突き詰めれば『エクスペリエンス・ファースト』だ。ユーザーはモバイルやクラウドが欲しいのではない。欲しいのは(必要な時に的確な情報にアクセスできる)エクスペリエンスだ」と述べた。

今回のコンファレンスでCitrixが強調するのは、ユーザーのモビリティ(動性)をサポートするソリューションを、エンド・ツー・エンドで提供できるアドバンテージである。同社で上級副社長兼CMOを務めるSteve Daheb(スティーブ ダヒーブ)氏は、「クラウド、モバイル、仮想化といった個別分野では競合が存在するが、すべてのカテゴリを網羅し、顧客ニーズに合わせてレゴ(ブロック)を組み合わせるようにソリューションを提供できるのは、われわれだけだと自負している」と自信を見せる。

「XenDesktopやXenAppにより、統一されたインタフェースを提供することで、ユーザーが(バックエンドの)ITシステムを意識することはない。ユーザーが使いたいデバイスにサービス(データ)が付いていく。これが『エクスペリエンス・ファースト』だ。」(同氏)

実際、展示ブースではデバイスに依存しないデータアクセスの例として、XenAppのクライアントアプリである「Citrix Receiver」を用い、iPad上でWindows 8を利用するデモンストレーションが行われた。

iPad(iOS)上でWindows 8を動かすデモンストレーションには多くの参加者が足を止めていた