日立製作所は4月7日、高速鉄道車両の騒音低減や欧州向け鉄道車両の強風に対する安全性向上を目的とした風洞設備を開発したと発表した。風洞設備は、車両の走行によって発生する気流を再現し、その気流から発生する騒音を予測するもの。

今回、気流を作り出す送風機から気流の吐出口に至る流路の長さを従来の約2倍に伸ばし、傾斜部分の角度を緩やかにすることで、気流の最大速度を従来の時速180kmから時速420kmまで高めることが可能になった。これにより、高速鉄道が最高速度で走行する際に発生させる気流の状態に近づかせて、走行により発生する騒音を高精度に予測することが実現される。

日立製作所が開発した風洞設備の概観

同社は、高速の気流を発生させるため、数値流体解析により、流路の断面積の減少率を最適化し、従来の自社で保有する風洞設備と同等の低騒音環境を維持しつつ、最高気流速度時速420kmを実現した。

欧州規格に準拠すべく、同風洞設備のオプション設備として、車両安全性評価設備が開発された。その活用により、車両から発生する騒音や走行安全性、走行に必要なエネルギー量など、気流に関するさまざまな車両特性を評価することができる。

日立製作所が開発した車両安全性評価設備の概観