NECは3月24日、中期経営計画の注力領域であるスマートエネルギー事業の中核となる蓄電システム事業強化のため、中国万向集団グループのA123 Systemsが保有する電力会社向けおよび企業向け大規模・大容量蓄電システムのシステムインテグレーション(SI)事業部門(A123 Energy Solutions)を買収することを発表した。買収金額は約1億米ドルで、6月からNECの新会社「NEC エナジーソリューションズ」として、事業を開始する予定とのことだ。

A123 Energy Solutionsは、A123 Systems独自の正極材「Nanophosphate」を用いたコスト競争力の高い蓄電池や、蓄電技術・制御・設備を含めたパッケージ提供で実績のある電力会社向け蓄電システム「Grid Storage Solution」によるSI技術、および顧客の課題を解決する優れたシステム提案力を有している。また、電力インフラのノウハウに精通した優秀な人材と、電力事業者をはじめ世界に11社、出力110MW以上となる世界トップクラスのシステム納入実績も有している。

今回の買収によりNECは、電力会社向け蓄電システム事業で世界トップクラスとなり、顧客のニーズにあったシステムを構築するA123 Energy Solutionsの蓄電SI力と、NECのICTにおけるグローバルかつ総合的なSI力やリチウムイオン電池のコスト競争力を組み合わせることで、蓄電システム事業を強化する。

また、A123 Energy Solutionsが持つ電力会社および企業の顧客基盤とNECの通信事業者、企業、官公庁などの顧客基盤を融合することにより、スマートエネルギー事業の広範かつグローバルな展開を強力に推進するとしている。

NECは買収後、A123 Energy Solutionsの蓄電システム事業を、NECのスマートエネルギー事業と統合し、中核事業としてNECがグローバルに運営する。中国市場については、万向集団と共同で企画合弁会社を設立し、大規模蓄電システム事業を開拓する。