富士通研究所は3月12日、クラウドシステムの運用管理に必要なフローを自動生成して運用を支援する技術を開発したと発表した。
今回、開発された技術は、様々なシステムの運用手順書から共通化できる部分を抽出して標準的な運用手順を推定する「運用手順書の分析技術」と、運用手順を自動実行するフローの作成を効率化する「自動化支援技術」。
運用管理のノウハウは、運用管理者の専門スキルや現場の経験により支えられている部分が多く、そのような知識はあまり明文化されていなかった。
「運用手順書の分析技術」では、作業を記述した部分を抽出し、できるだけ大きな単位、かつ再利用性が高くなるような部分に各手順書を分割。その後、分割結果を重ね合わせることにより共通となる運用手順を推定し、共通となる運用手順の複雑さと、含まれる運用作業により分類。そして、自動運用フローの作成の要する時間と現在の手作業時間を推定し、自動化の優先度順を算出する。
共通となる運用手順の算出は、組み合わせ問題を解くことになり計算量が発散するが、同技術では段階的に部分列を求めることにより計算時間を短縮。これにより、人手で1カ月以上を要していた運用手順書の分析作業が数時間で分析可能になったという。
「自動化支援技術」では、サービスの起動や停止など、運用作業として最低限の要素を運用管理者が運用設計書に記述することで、そこから自動運用フローを自動生成する。
運用設計書には処理を実行する条件も指定可能だが、条件分岐などの実装は自動化されているため、運用設計者のスキルを必要とせず、運用手順書の分析で得られた共通手順に対応して運用設計書を記述することで、再利用性が高い自動運用フローの維持管理が容易になる。
また、自動生成により自動運用フローの作成時間を最大10分の1に短縮することが可能になった。
同社では、これら技術の効果として、開発した技術を社内のデータセンターで使用している運用手順書に試験適用し、運用作業の約30%を自動化できることを確認したという。
同技術を用いることで、クラウド上でシステムを利用することで生まれる様々な運用データを再利用することが可能となり、運用管理の効率化と高信頼化が期待される。同研究所では、運用データの分析技術に関する研究開発を進め、2014年度中の実用化を目指している。