日本IBMは2月7日、同社のクラウド戦略を発表し、ベンダーロックインすることなく、オンプレミスとクラウド間で、IT環境を自由に移行できるOpen Cloud環境を目指すとした。
同社は昨年の7月、米国、アジア、欧州に13のデータ・センターにデータセンターを持ち、高速なネットワークのIaaS環境を提供するクラウドベンダー米SoftLayerを買収。IBMでは、このクラウド環境を先行するAmazonやGoogleなどに対抗するためのパブリッククラウドと位置づけ、PureSystemsなどで構築されたプライベートクラウド環境との間で、自由に移行できるようにしていくという。
日本IBMのクラウド事業戦略について、日本IBM スマーター・クラウド事業統括担当 執行役員 小池裕幸氏は、べンダーロックインをなくすためには、クラウド技術をオープンにする必要があると指摘。そして、そのためには、クラウド基盤を細分化(部品)された技術要素で構成し、それぞれを標準化する必要があるとした。
日本IBM スマーター・クラウド事業統括 理事 クラウドマイスター 紫関昭光氏は、標準化するためのIBM役割は、Open Standard準拠の部品を提供すること、Open Standard準拠のツール、環境を提供すること、支援サービスを提供することの3つだと語った。
一般的なクラウドサービスは、IaaS、PaaS、SaaSの3つが提供されるが、IBMではこれら3つをそれぞれ、Software Defined Environment(SDE)、Cloud Operating Environment、API Economyと定義。
SDEでは、OpenStack、Cloud Operating Environmentでは、Cloud FoundryやOASIS TOSCAなどのOpen Standardに準拠していくという。
また、SaaS(API Economy)はこれまで人がアプリケーションを利用する環境と位置づけられていたが、IBMではアプリが使うAPIを提供する環境と位置づけ、さまざまなベンダーが開発したAPIを流通させるMarketPlace(市場)として位置づけていくという。
日本IBMでは今年の1月、クラウド体制の組織を強化し、クラウド専任社員を1.5倍にしたほか、クラウドエキスパートは500名規模に増員した。また、1月中旬には全社営業系社員4,000名を対象に、2日間の集中トレーニングを実施したという。
小池氏は「クラウドはインフラだけはない。クラウドを使ったビジネスモデルを可能にしていくことがIBMの役割だ。クラウドは、ベンダーロックインをさけるための技術で、改めてオープン化を推進していきたい。これがファーストプラオリティだ。 ハイブリッドクラウドを広げることで、市場を延ばし、我々の事業も伸ばしていける」と述べた。