欧州連合(EU)の競争政策担当委員 ホアキン・アルムニア氏は2月5日(ブリュッセル時間)、検索とオンライン広告について反競争法(独占禁止法)違反の疑いで調査していた米Googleとの合意を発表した。2010年11月から約3年間続いた調査にピリオドを打った格好だが、地元企業からは反対意見も出ているようだ。

この調査は、Googleが検索結果に表示される広告で特定分野(ホテル、レストラン、航空券など垂直型検索といわれるもの)に特化した競合他社の表示ランクを下げるなどのことを行っているとの苦情を受けて始まったもの。

苦情を提出したのは、英国の価格比較サイトFoundem、フランスの法律関係検索サービスejustice.fr、ドイツのオンラインショッピングポータルCiao!(米Microsoft傘下)など。Googleは欧州で約75%のシェアを占める検索最大手で、違反が認められると2012年の売上げ10%(約50億ドル)の罰金が科されることになっていた。

Googleは2013年に欧州委員会(EC)に2回和解案を提出したが、EC側は懸念を払拭できないとして拒否したため、合意に至らなかった。

今回、Googleはコンテンツプロバイダーにオプトアウトの権利を与える、検索広告キャンペーンを競合他社の広告プラットフォームでも展開できるように制限を解除するなどの点で合意した。

Googleは自社の垂直型検索サービスをプロモーションする場合はユーザーに分かるようにスポンサードとしてラベルを貼り、他の検索結果と分かりやすく区別する、関連する垂直型検索では3社の垂直型検索サービスを「Alternatives(代替)」として同等に表示し、リンクを貼る、など点で合意した。

現在のGoogle検索

GoogleとEUとの合意内容を実装した検索結果の例。「Google Shopping Results」の横に「Alternatives」として、競合他社の結果が同じように表示される

上記のモバイルで検索結果の例

「Cafes in Paris」のローカル検索では、PagesJaunes、Yelp、ViaMichlinの3社の結果が「Alternatives」に表示されている

EUと合意に至ったGoogleは罰金を免れたことになる。アルムニア氏は、「3回目で合意に至らなかった場合は、違う方向を探らなければならなかった」と述べており、修正案では「競合する他の垂直型検索サービスがGoogleと公正に競合できることにフォーカス」を置いたと説明している。

一方で、競合他社はGoogleの検索結果に表示されるために入札をする必要がある点、市場テスト期間がない点などに不満をもらしているとFinancial Timesは報じている。入札については、3社を選ぶのに最適な方法とGoogleは見ているようだ。

2者の合意は今後、最終承認を経て成立となる。正式に認められた場合、Googleはその5年間、合意内容を履行する義務を追う。