MM総研は1月29日、個人消費動向に関する市場規模調査の結果を発表した。

同調査は、個人名義のPC / 携帯電話 / スマートフォン / タブレット端末のいずれかを所持している15~69歳を対象として2013年12月に実施したもので、消費全体の市場を12分野に区分し、各分野の市場予測を行っている。調査対象は2040人で、市場規模の算出には、同社による全国アンケート調査、内閣府の民間最終消費支出、総務省の人口統計データが活用されている。

発表によると、2013年度の国内消費の市場規模は283.7兆円と算出されている。2012年度の国内家計最終消費支出(名目)281.8兆円と比較すると0.7%増となり、景気回復による消費拡大が浸透したと見ることができる。

12分野の市場規模はそれぞれ次のように算出されている。

  • 「食料・非アルコール飲料」39.5兆円(国内消費市場規模に占める構成比:13.9%)
  • 「外食・宿泊」18.2兆円(同6.4%)
  • 「アルコール飲料・たばこ」7.8兆円(同2.7%)
  • 「被服・履物」9.6兆円(同3.4%)
  • 「住居・電気・ガス・水道・エネルギー」71.8兆円(同25.3%)
  • 「家具・家庭用機器・家事サービス」11.5兆円(同4.1%)
  • 「交通・車・バイク・自転車」31.3兆円(同11.0%)
  • 「電話・通信・郵便」8.6兆円(同3.0%)
  • 「娯楽・レジャー・書籍・新聞・趣味・文化・デジタル家電」28.0兆円(同9.9%)
  • 「教育・学習」6.0兆円(同2.1%)
  • 「保健・医療・介護・薬」12.5兆円(同4.4%)
  • 「美容・理容・装飾品・各種保険・金融サービス」38.8兆円(同13.7%)

2013年度 国内消費市場の市場規模(発表資料より)

また、EC市場規模は15.9兆円で、市場規模全体の5.6%を占める。EC市場における12分野の市場規模は以下の通りとなっている。

  • 「食料・非アルコール飲料」1.7兆円(EC市場に占める構成比:10.7%)
  • 「外食・宿泊」1.8兆円(同11.3%)
  • 「アルコール飲料・たばこ」0.6兆円(同3.8%)
  • 「被服・履物」1.4兆円(同8.8%)
  • 「住居・電気・ガス・水道・エネルギー」2.4兆円(同15.1%)
  • 「家具・家庭用機器・家事サービス」1.0兆円(同6.3%)
  • 「交通・車・バイク・自転車」0.8兆円(同5.0%)
  • 「電話・通信・郵便」1.2兆円(同7.5%)
  • 「娯楽・レジャー・書籍・新聞・趣味・文化・デジタル家電」2.4兆円(同15.1%)
  • 「教育・学習」0.8兆円(同5.0%)
  • 「保健・医療・介護・薬」0.9兆円(同5.7%)
  • 「美容・理容・装飾品・各種保険・金融サービス」0.9兆円(同5.7%)

2013年度 国内EC市場の市場規模(発表資料より)

EC市場の市場規模を利用端末別に見ると、「パソコン」が最も大きく11.8兆円(ECに占める比率74.2%)、「スマートフォン」は2.6兆円(同16.4%)、「フィーチャーフォン」は0.8兆円(同5.0%)、「タブレット端末」は0.7兆円(同4.4%)となっている。

ECに関しては自宅内でPCを使う人が多いものの、スマートフォンの利用も伸びている。同社は、スマートフォンの活用がどの程度伸長するのかによって、今後のEC市場の動向が左右されると予測している。

2013年度 国内EC市場の市場規模(発表資料より)

同調査では、現金やクレジットカード、電子マネーなどの支払い形態ごとの市場規模も算出している。同社はこれらの支払い形態を現金と非現金に大別しており、非現金にはクレジットカード、デビットカード、電子マネー(カード型)、おサイフケータイ、プリペイドカード・商品券・ポイント、銀行・郵便(振込・振替・引き落し・ATM・オンライン)が含まれる。

国内消費市場のうち、現金による支払いは185.1兆円、非現金は98.6兆円となっている。非現金の内訳は次の通り。

  • クレジットカード44.7兆円(決済市場における構成比:15.8%)
  • デビットカード1.1兆円(同0.4%)
  • 電子マネー(カード型)2.3兆円(同0.8%)
  • おサイフケータイ2.9兆円(同1.0%)
  • プリペイドカード・商品券・ポイント1.7兆円(同0.6%)
  • 銀行・郵便(振込・振替・引き落し・ATM・オンライン)45.9兆円(同16.2%)

国内消費市場の市場規模(現金 / 非現金別)(発表資料より)

消費税率の引き上げに備えて、「今後購入検討したい商品・サービス」を尋ねた質問では、「パソコン」という回答が12.0%で最も多い。その後には「衣類」10.0%、「スマートフォン」8.1%、「食料品」8.1%、「靴」7.6%、「国内旅行(パック含む)」7.3%、「テレビ」7.0%、「自動車・軽自動車」6.7%などが続く。

全体的に、「デジタル家電」分野や「衣類」・「靴」などの「被服・履物」分野の商品が上位になっており、「自動車・軽自動車」や「冷蔵庫」・「洗濯機」など、やや高額な商品に関しても購入・検討したいと答える人が多い。

同社は2015年10月実施の「消費税10%」案が決定した場合、これらの商品の駆け込み需要がしばらく続くと思われるが、その反動による需要減少が避けられないとしている。

また、「今後、消費税率が8%、10%に引き上げられることによって、12分野への支出が増加するか減少するか」を尋ねた調査では、全体として消費税率引き上げ分を意識した「節約志向」が見られ、消費税率アップの際には支出が減少することがわかったという。この結果をもとに試算した国内消費市場規模は、2014年度は前年度比1.0%減の280.8兆円、2015年度は同0.4%減の279.7兆円で、全体として微減傾向になっている。

消費税率の引き上げによって、「実際の店舗での購入が増える」のか「インターネット購入が増えるのか」も尋ねており、その結果、全体として実店舗よりもインターネットによる購入が増加する傾向が見られたという。これをもとに消費税率引き上げ後のECの市場規模を算出すると、2014年度は前年度比10.7%増の17.6兆円、2015年度は同14.2%増の20.1兆円となり、拡大傾向が見られる。

このほか、決済市場において、消費税率アップ後の現金支払いの増加や、クレジットをはじめとする各種支払い方法の増加についても尋ねており、それによるとクレジットをはじめとする非現金利用が伸長する傾向が表れているという。EC市場で最も高い伸びが期待できるのは「娯楽・レジャー・書籍・新聞・趣味・文化・デジタル家電」の分野で、同社は書籍や新聞の電子化やゲームなどのさまざまなコンテンツが伸びると予想している。

また、決済市場ではクレジットカード利用が拡大傾向にあり、EC市場が拡大するほど、クレジットカード利用がさらに増加する見込みとなっている。同社は今後の注目点としてスマートフォンやタブレットを活用したカードリーダーによる決済サービスを挙げており、現在は認知度が低いものの、店舗側の導入が進めば、これらによるクレジット決済が拡大するとしている。