2014年の年頭にあたり、日本オラクル株式会社 執行役社長 最高経営責任者 デレク・エイチ・ウイリアムズ氏は、以下の年頭所感を発表した。

新年明けましておめでとうございます。2014年を「グローバライゼーション」の年として、新たな希望と抱負とともに、皆さまのイノベーションをより一層加速することを目指してまいります。

2013年は、アベノミクス主導の金融緩和により日本経済の緩やかな景気回復が感じられる1年でした。昨年9月には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定し、祝賀ムードが日本列島を包みこみ、日本国民の心を明るくしたことは記憶に新しいところでしょう。さらに、成長戦略の一環としてTPP(環太平洋連携協定)交渉へ参加するなど、日本が多国間での連携を強化していく姿勢が具現化しはじめました。真の「グローバル化」に向けた土台づくりが始まり、2014年は企業がその土台を活かして事業成長を最大化するための次の一手が期待される1年になるでしょう。

日本企業がグローバル化を推進するにあたり、「グローバル化」を正確に理解する必要があります。「グローバル化」は「国際化」、「他国化」ではなく、企業のビジネスを「世界規模」で考える、ということです。お客様、社員、取引先、製造・販売の拠点が世界中に存在することを前提にした事業改革や戦略が求められます。グローバルにおいてさらなる成長を目指す企業のリーダーは、視座をあげて世界全体を俯瞰する能力と経験ある人材を獲得し、そして目まぐるしく変化する環境に柔軟に対応するための迅速かつ適切な意思決定能力を身につけなければなりません。これらを実行に移すには、グローバルビジネスを支える十分なIT基盤の設計とその価値を最大限に活用することが求められます。オラクルは自身がグローバル企業であるとともに、先進的な製品、テクノロジーとサービスによりグローバル企業の成功を導いてきました。今後も世界を舞台に勝利を目指す企業のパートナーとして、ITの側面から支援していきます。

IT業界に目を向けると、2013年はビッグデータの活用が実用段階に入り、マーケティング、販売促進、ヘルスサイエンス、社会インフラ、消費者向けサービスなど、さまざまな領域で具体的な事例が数多く紹介されました。ビッグデータは情報端末の普及と通信インフラの整備によってもたらされたと言われています。現在も世界で90億個の情報端末がデータを発生し続けており、インターネットを介して蓄積されるデータ量は爆発的に増加しています。こうした状況下で注目されている考え方が「Internet of Things (IoT)」(インターネット・オブ・シングス:モノのインターネット化)です。車、電車、飛行機などの乗り物、テレビ、冷蔵庫などの家電、医療機器、医薬品などの「モノ」がインターネットに接続し、「ヒト」の作業を介さず自動的に多種多様なデータを送受信する「Internet of Things」の時代が到来しています。2020年までにインターネットに接続された情報端末は500億個にのぼると推測されており、「Internet of Things」の機運はますます高まっています。オラクルは、継続的な研究開発により最先端のIT技術と革新的な製品を社会に提供し続けることで「Internet of Things」の普及を推進し、情報活用の高度化によって事業成長と人々の豊かな暮らしを支えていきます。

このような環境において、お客様のさらなるイノベーションをITの側面から加速させるため、日本オラクルは、2014年、以下の分野に注力してまいります。

Oracle Cloud

2014年の注力分野の1つはクラウドです。昨年より注力してきたクラウド型のHCM製品「Oracle HCM Cloud」やカスタマー・サービス・アプリケーション「Oracle RightNow」に加え、ソーシャルメディア管理アプリケーション「Oracle Social Relationship Management」やBtoBマーケティング・ソリューション「Oracle Eloqua」などの新たな領域におけるクラウド・アプリケーションを積極的に展開していきます。カスタマー・エクスペリエンス向上を実現する「Oracle Social Relationship Management」や最先端のマーケティングを支援する「Oracle Eloqua」は、日本でもすでに多くの引き合いをいただいております。この分野では特に、情報システム部門だけでなく、企業のマーケティング部門や顧客サービス部門に提案しています。また、昨年7月にはデータベース製品「Oracle Database 12c」の国内提供を開始しました。データベース・クラウド環境向けに開発された「Oracle Database 12c」を積極的に推進し、「Oracle Exadata Database Machine」とともにクラウド基盤としての導入を加速させていきます。

Engineered Systems

2つ目の注力分野は引き続き「Hardware and Software Engineered to Work Together(ハードとソフトが一体となって最適に動くように設計、実装されている)」を製品コンセプトに開発された革新的な製品群「エンジニアド・システムズ」です。高速データベース・インメモリマシン「Oracle Exadata Database Machine」をはじめ、高速クラウドマシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」、高速分析専用インメモリマシン「Oracle Exalytics In-Memory Machine」、SPARC/Solarisを搭載した高速マシン「Oracle SuperCluster」は、垂直統合型システムとして業界をリードしてきました。これらの製品を組み合わせ、ビッグデータの活用や、プライベート・クラウド、パブリック・クラウド、ハイブリッドなクラウドやオンプレミス環境の構築をシンプルに実現し、お客様のITによる競争力強化を支援します。

インダストリーへの取り組み

3つ目は各業界向けへの取り組みです。昨年、日本オラクルによる初の試みとして実施し、1,600名以上の参加者が来場し大成功を遂げた、産業界におけるITの利活用を紹介するイベント「Oracle Industry Leadership Summit」を今年も同様の規模で4月24日(木)に開催します。グローバルにおいて積極的にビジネス展開を行っている各業界のお客様を登壇者に迎え、勝利する企業の成功体験を日本市場に紹介します。製造、金融、通信、製薬、流通や公益など各業界の動向、課題や業務に特化した内容を揃え、経営者層や業務部門の皆さまの期待に応えていきます。

Internet of Things

最後に、先に挙げた「Internet of Things」の時代においてオラクルは、情報端末からデータセンターまでを網羅したIT技術、製品を提供できる唯一の企業としてお客様の革新的な取り組みを支援していきます。「Internet of Things」を具現化する基盤として、情報端末に最適化された「Oracle Java Embedded」、「Oracle Berkeley DB」、時々刻々と発生するデータをリアルタイムに処理する「Oracle Event Processing」、「Oracle Coherence」、データセンターにおけるビッグデータの蓄積・管理・分析基盤として、「Oracle Exadata」、「Oracle Big Data Appliance」や「Oracle Exalytics」などの「エンジニアド・システムズ」を推進していきます。これらに加え、網羅的なセキュリティの強化、業務アプリケーションとの連携、データ分析に基づく改善には「Oracle Database」、「Oracle Fusion Middleware」の各種コンポーネントを推進していきます。オラクルの技術力を結集し、「Internet of Things」の普及を先導すると同時に、その利点を享受できるお客様の環境構築を実現します。