日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 兼 ITプラットフォーム事業本部長 岩崎秀彦氏

日立製作所、日立コンサルティング、日立システムズ、日立ソリューションズの4社は12月11日、今後、デスクトップ仮想化を中心とするクライアントソリューション事業を全面的に強化すると発表した。

日立グループは、2004年からシンクライアントを活用したVDIシステムを導入し、テレワークやオフィスのフリーアドレス化など、ワークスタイルの改革にも取り組み、現在では国内最大規模となる約80,000ユーザーが利用するシステムに拡大している。

日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 兼 ITプラットフォーム事業本部長 岩崎秀彦氏は、「自ら実践したリアリティで知を結集し、2015年度に関連売上高1200億円を目指す」と語った。

日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主管の中野俊夫氏

日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主管の中野俊夫氏は、IDC Japanの国内クライアント仮想化市場の規模予想を基に「日立はこれまでグループ8万人デスクトップ仮想化を実践し、蓄積したノウハウがある。国内のクライアント仮想化ソリューション市場は、年率平均20%で伸びるという予測もあり、これからが期待できる市場だ。これまでデスクトップの仮想化は、コスト削減や情報漏洩の防止といったことがトリガーになっていたが、最近はクラウド、マルチデバイスなどがトリガーになっている。今後は、仮想化デスクトップだけという『もの』だけの提供ではなく、『こと』による提供を図らなければばならない。企業活動成功に鍵は知の活用だ。ソリューションを1回提供するだけで終わりではなく、ロードマップを共創していくことを目指している」と述べた。

国内クライアント仮想化市場の規模予想(出典:IDC Japan)

これは単にデータアクセス手段としての仮想化デスクトップを提供するだけでなく、スケジュールやSNS、Web会議などのコミュニケーション手段、レポート、業務ファイル、DBなどの組織が持つデータを活用するためのソリューションをロードマップを作って提供していくことを目指している。

具体的な施策としては、内外のデータや経験・知識の統合的な活用による新たなビジネス価値の創出を支援するクライアント環境の実現をコンセプトとして、投資計画の策定から、設計、構築、運用までをトータルに支援する日立クライアント統合ソリューション「Hitachi unified client experience platform(日立ユニファイドクライアントエクスペリエンスプラットフォーム)」(以下、「日立クライアント統合ソリューション」)を体系化し、12月13日から順次提供を開始する。

「Hitachi unified client experience platform(日立ユニファイドクライアントエクスペリエンスプラットフォーム)」の全体像

「日立クライアント統合ソリューション」では、VDIシステムの設計、構築、運用に関する豊富な経験・知識をもとに、中期的な視点で顧客に最適なクライアント環境の実現に向けた投資計画を策定する新サービス「クライアント環境構想策定支援コンサルティング」と、VDIシステムの導入や運用にかかるコストを最適化する製品・サービス群を新たに整理、拡充した「システム資産・運用最適化ソリューション」で構成される。

「クライアント環境構想策定支援コンサルティング」

「システム資産・運用最適化ソリューション」の新サービスとしては、VDIシステムをクラウドサービスとして提供するDaaS(Desktop as a Service : 仮想デスクトップサービス)の新サービスとして、システム規模やコストで選択できる「かんたんPrivate DaaS」および「ターミナルサービス型仮想デスクトップサービス/プライベートDaaS」を追加したほか、VDIシステムの監視・運用を支援する「仮想化統合監視・運用サービス」を提供開始する。

「システム資産・運用最適化ソリューション」

「かんたんPrivate DaaS」および「ターミナルサービス型仮想デスクトップサービス/プライベートDaaS」

また、顧客からの問い合わせ窓口を1本化するため、VDIをはじめとするクライアント環境に関する専門的な経験・知識を有する約100人体制の日立グループ横断プロジェクト組織「クライアント統合ソリューションビジネス開発ラボ」(以下、「ビジネス開発ラボ」)を設立。

「ビジネス開発ラボ」では「日立クライアント統合ソリューション」に関するセミナーや個別顧客向けにワークショップを開催するなど、拡販活動を推進。同時に、営業・SEの提案活動や導入の支援、問い合わせ対応を行い、その活動を通して把握した顧客のニーズや技術的な課題、ノウハウを集約し、新たなソリューションの開発を推進する。

「ビジネス開発ラボ」には、グループ内でノウハウを共有していくという狙いもあるようだ。

「ビジネス開発ラボ」