ICT総研は11月20日、2013年度の携帯電話キャリアショップ満足度に関する調査結果をまとめた。総合満足度はキャリア3社が拮抗したものの、僅差でNTTドコモがトップに立った。法人ユーザーは、個人ユーザーに比べて総合満足度が低く、「ショップの雰囲気・居心地の良さ」への評価が全体的に低かった。なお、キャリアショップで端末を購入した人の割合は67.5%だった。
携帯電話キャリアは、3社ともにiPhoneの扱いを開始したことにより端末での差別化ができなくなり、ネットワークやサービス面などで違いを打ち出す必要に迫られている。今回の調査は、携帯電話キャリアが顧客と直接接する場所である「携帯電話キャリアショップ」の利用者満足度を調べることを目的として実施したという。
ICT総研では、スマートフォン時代に入って長時間の販売説明が必要になってきたため、キャリアショップの重要性はさらに増しており、キャリアショップの優劣が携帯電話の販売動向にも影響すると分析している。
調査対象は、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクモバイルの携帯電話キャリアショップを利用した経験がある2万3096人。調査期間は10月24日~31日で、Webアンケート形式で調査を行った。
総合満足度はNTTドコモが63.7ポイント、auが63.0ポイント、ソフトバンクが62.5ポイントで、3社がほぼ拮抗する形となった。ICT総研は「大きな差が付かなかったところに、各社が携帯電話キャリアショップの運営・応対に力を入れている様子がうかがえる」結果だという。
回答者を個人ユーザーと法人ユーザーに分類すると、個人ユーザーの総合満足度が3社平均で63.7ポイントであるのに対し、法人ユーザーの総合満足度は55.6ポイントにとどまった。個人ユーザーに比べ、法人ユーザーの満足度が低い傾向が見られる。
各キャリアともに、携帯電話キャリアショップに「法人コーナー」を設けるなど法人向けの施策を打っているが、それが満足度という形では反映されてきていない様子だ。また法人ユーザーの場合、キャリアショップの店頭よりも訪問営業で購入する場合が多いため、ショップにおける満足度が低くなる傾向が見られる。
個人ユーザーの回答結果を見てみると、NTTドコモは「待ち時間の長さ」で評価が低いものの、「ショップ店員の応対態度・印象」「ショップ店員の説明スキル」で良好な評価を得ていた。
auやソフトバンクは、逆に「待ち時間の長さ」でNTTドコモと比べて優位である。auは主にフィーチャーフォンユーザーが、ソフトバンクはスマートフォンユーザーが「待ち時間の長さ」で非常に評価が高かった。
法人ユーザーの回答結果を見てみると、全体的に個人と比べて法人の満足度ポイントは低いが、中でも特に「ショップの雰囲気・居心地の良さ」への評価が低い。フィーチャーフォンユーザーの3社平均が53.9ポイント、スマートフォンユーザーの3社平均が48.7ポイントと、他の項目に比べて著しく低い結果となった。他には、スマートフォンユーザーの「ショップ店員の説明スキル」の項目で、NTTドコモが突出して高い点がトピックとして挙げられる。
また、携帯電話・スマートフォン購入者のうち、携帯電話キャリアショップでの購入者は、67.5%と全体の3分の2を占めた。次いで家電量販店での購入が20.4%を占める。スマートフォンの購入に際して、ユーザーは長時間の説明を受けることが多くなってきたため、今後も携帯電話キャリアショップで端末を購入するユーザーは増えていくと思われる。
携帯電話キャリア3社は、Android端末に加えてiPhoneでも同じ端末を扱うようになり、端末面での差別化からネットワーク面・サービス面での競争に移ってきた。その中でも携帯電話キャリアショップは、顧客とダイレクトに向き合う場所として、今後もキャリア・ユーザー双方にとって重要性は増し続けると想定される。