サイボウズ株式会社
ビジネスマーケティング本部
プロダクトマネージャー
栗山圭太氏

サイボウズ Officeの最新バージョン、Office 10がこの10月10日にリリースされる。パッケージ版だけでも38,000社以上の導入実績を誇り、Webグループウェアの代名詞ともなっているサイボウズ Officeがどんな進化を遂げたのか、新バージョンの見どころをプロダクトマネージャーの栗山圭太氏にうかがった。

作業効率と使いやすさに磨きをかけた
サイボウズ Office 10

サイボウズ Officeが最初にリリースされたのは、1997年10月10日のこと。そして、満16歳を迎える今年10月10日に最新版のOffice 10がリリースされる。節目となるバージョンだけにOffice 10には、さまざまな機能強化が施されているという。プロダクトマネージャーの栗山圭太氏は次のように語る。

「16年の年月をかけて進化してきた製品ですので、一般的にすでにグループウェアに必要とされる機能は、ほぼ網羅しています。開発の主眼となっているのは、いかに効率よく作業が行えるか、という点です」

Office 10での作業効率の改善を端的に表すポイントとして栗山氏が例に挙げたのが、「メール」「通知機能」「UIの強化」の3つだ。以下、それぞれどのような改良が施されたのか見ていくことにしよう。

ポイント(1) Webメール『たまったメールを素早くチェック』

栗山氏が1つめにあげたのが、メールの強化。ごく初期から搭載していた機能だが、大量のメールを短時間で処理できるように機能強化が図られている。具体的には、縦3ペインビューを採用し、中央ペインの一覧でクリックしたメールの内容が画面遷移なしで右ペインに表示されるようになった。一覧画面と編集画面を行き来する必要がなくなり、効率よくメールを処理することができる。

「ソーシャルメディアやダイレクトメッセージなど、ビジネスでもコミュニケーション手段をシーンに応じて使い分ける時代になっていますが、メールもその中のひとつの手段として、重要な地位を持っています。そこで、Office 10では一般的なクライアントメーラーと遜色ない使い勝手をWebメール機能で実現することを目標にしました」(栗山氏)

また、メールを強化した背景には、ユーザー企業において、ITガバナンスの一環として、クライアントにメールのデータを残さないWebメールに移行したい企業の増加があるという。Office 10におけるメールの強化は、Officeとメーラーを使い分けている企業にとって、情報の一元管理を進める起爆剤となるだろう。

縦3ペインビューに生まれ変わった「メール」の画面

ポイント(2) 通知機能『トップページだけで新着情報を処理』

栗山氏が2つめにあげたポイントはサイボウズ Officeに新設された未読一覧機能。今までもスケジュールやメール、メッセージ、掲示板などの各ツールから、自分に関連した未読情報だけをリストアップしてくれる機能はあった。

従来は通知項目をクリックすると各機能のページに移動するようになっていたが、未読一覧機能ではトップページから移動せずにその場で内容が表示されるようになり、メール、掲示板への返信やスケジュールの確認などもその場で行えるようになった。

「画面遷移がなくなったということは、単に新着情報をすばやくチェックできるだけでなく、ユーザーが通知を処理する作業から離脱しにくいという効果もあります。これまではトップページの通知項目から各ツールの画面に移動すると、移動先で他の情報に目を取られてしまい、思考が分断されるといったことがありました。Office 10では未読一覧から移動せずに通知項目をどんどん処理していけるので、時間がかかるということも減らせるでしょう」(栗山氏)

トップページの「通知機能」の画面

ポイント(3) UIの強化『Webグループウェアの常識を変える操作性』

最後に栗山氏があげたポイントがUI(ユーザーインタフェース)の強化だ。メールや通知機能の改良もUIの強化によるものだが、Office 10ではこうした作業効率と操作性を向上するための改良が随所で行われている。

たとえば、今まではセルの詳細画面へいちいち移動して編集していたものが、一覧画面で直接編集できるようになった。これによりユーザーの作業効率は大幅に向上すると見込まれている。

ただし、単純にクリック数を減らせば効率が良くなるわけではない。「一覧画面での直接編集では、編集先を間違えるなどの誤操作が発生する可能性があります。また、共有のデータベースの性質上、セルが更新されるとその都度、更新情報が通知されることもあります。そのため、ポップアップ画面を表示してユーザーに確認を求めるようにしています。」(栗山氏)

こうしたUIの強化は、モックアップの段階でユーザー企業へのヒアリングを何度も実施した結果によるものだ。派手なエフェクトなどはないが、作業効率と操作性を改善するための細かな改良を重ねたOffice 10は、手になじむビジネスツールとして着実な進化を遂げたといえるだろう。

汎用データベースの「カスタムアプリ」の画面

なお、Office 10にはこのほかにもオフィスでの"困った"を解消するための工夫が豊富に搭載されている。その詳細については、サイボウズ Office 10の特設サイトでぜひご確認いただきたい。

サイボウズ Office 10 特設サイト
https://www.cybozu.com/sp/office10beta/

掲載当初、新機能の1つとして「カスタムアプリのセル幅を調整できる」と紹介していましたが、今回のリリースでは見送られることが発表されたため、8月29日に該当箇所を修正いたしました。ご迷惑をおかけした読者の皆様には深くお詫び申し上げます。