ルネサス エレクトロニクスは8月2日、2014年3月期第1四半期(2013年4-6月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比6.7%増の1990億5700万円、営業損益は前年同期の176億300万円の損失から97億7900万円の黒字と、2四半期連続で黒字化を達成。経常損益は前年同期176億900万円の損失から85億3800万円の黒字となったものの、純損益は39億9000万円の赤字となった。
半導体事業の売上高は、前四半期比9.0%増、前年同期比12.7%増の1896億円。営業損益も前四半期に引き続き黒字を確保しており、会見した同社代表取締役社長兼COOの鶴丸哲哉氏は、「これまで実行してきた構造改革の効果が表れ始めているものの、円安の影響や、一時的な費用削減効果による改善が多く、黒字基調の定着にはもう一段の構造改革が不可欠であると考えている」とした。
事業分野別の業績は、「マイコン」が、自動車向けが、2012年から続いていた中国向け自動車の生産減の影響かが回復し、堅調に推移したほか、汎用向けについても、産業機器向けの一部回復や、それに伴う代理店の在庫補充、中国におけるエアコンの需要増などにより、前四半期比で増収となり、前年同期比13.5%増の856億円となった。
「アナログ&パワー半導体」は、自動車向けパワーデバイスとアナログICが堅調を維持したほか、表示ドライバICが中小型パネル向けが牽引し、前四半期比で大幅な増収となったことから、同19.3%増の653億円となった。そして「SoC」については、マイコン、アナログ&パワー同様、自動車向けが堅調を維持し、SoCに占める構成比が約25%に拡大したほか、プリンタや複合機の在庫調整の一巡により、PC周辺も前四半期比で増収となったが、アミューズメント向けの減速により、民生が前四半期比で大幅な減収となったことから、同7.2%増の368億円にとどまったとする。
また、営業損失が発生しているが、これは「第4世代ワイヤレスモデム事業からの撤退」に伴う海外従業員関係の費用など、合計89億円の特別損失が計上されており、そうした影響によるものとしている。
なお同社では、半導体業界の事業環境が短期間に大きく変化する影響から、信頼性の高い数値を、的確に算出することが困難であることを理由に、今年度から「四半期ごとの連結業績予想」を開示する方法に変更することを決定したとしている。その第2四半期の業績予想としては、季節性要因などを受けて、前四半期比5.7%増の2004億円を見込むほか、営業損益は、売上増に伴う利益増があるものの、たな卸資産の縮減に伴う生産回収減や上期末の費用増などにより、前四半期比で56億円の減少となる42億円の黒字を見込むとしている。さらに、純損益は、2013年9月末に実施予定の早期退職優遇制度や事業・生産構造改革の実施に関わる特別損失を計上することなどの影響から、360億円の赤字となる見込みとしている。