石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は7月25日、同機構が2011年より支援(共同スタディ)し、石油資源開発株式会社(JAPEX)による日本国内初のタイトオイル開発となる秋田・女川層での技術開発における実証実験でのタイトオイル産出状況に関する結果報告を行った。

タイトオイルとはシェールオイルともいわれ、浸透率が低い(タイトな)頁岩層や砂岩層に胚胎する原油のことで、在来型の油田とは異なり明瞭な集油構造(トラップ)を伴わないのが特徴だ。タイトオイル層は、一般には極めて生産性が低い貯留層であるため、水平掘削により坑井と貯留層の接触面積を増大させると共に、水圧破砕により貯留層内に流路を形成することで開発される。

今回の事業においては、2012年10月に同社鮎川油・ガス田(秋田県由利本荘市)の既存坑井を用いた女川層への酸処理テスト(画像1)と第1回のフローテストでもって、一定量の原油生産が確認された(画像2)。第2回のフローテストも併せ総原油生産量が1521.3klに達し、第2回のフローテストの最終原油生産量は、日量40klと確認されている。なお酸処理とは、坑井の周囲の油層障害の除去や割れ目にある炭酸塩鉱物などの石灰分を溶解し、生産能力を向上させる在来型の石油天然ガス開発で一般的に用いられる坑井刺激法の1つだ。

画像1。鮎川油田(秋田県)における酸処理テストの様子。写真提供:JAPEX

画像2。実証実験にて回収された原油。写真提供:JAPEX

この結果を受けて、JAPEXは、当該既存坑井の本格生産に向けての検討を進める一方、福米沢油田(秋田県男鹿市)において、タイトオイル開発に必須である技術(水平坑井掘削およびフラクチャリング作業)の実証試験のための準備を計画しており、JOGMECは引き続き、その支援を行う予定とした。

今回の実証実験の作業経過および生産量の状況(平成24年10月~平成25年7月)は以下の通りだ。

酸処理テスト:平成24年10月1日~10月8日

  • 酸処理流動体注入総量:141.6kl
  • 原油生産量:31.1kl
  • 酸処理流体回収量(地層水を含む):69.5kl

第1回フローテスト(坑井圧力測定も併せて実施):平成24年11月21日~12月13日

  • 原油生産量:71.2kl
  • 酸処理流体回収量(地層水を含む):0.06kl

第2回フローテスト(坑井圧力測定も併せて実施):平成25年5月13日~7月10日

  • 原油生産量:1419kl
  • 酸処理流体回収量(地層水を含む):57.9kl

JOGMECが今回の件に関連して、これまでにJAPEXを対象に実施した事業については、以下の通り。

1. 平成23年度「女川層タイトオイル開発」に係る共同スタディ

主な事業内容

  • タイトオイル開発手法のレビュー
  • 鮎川・由利原油ガス田および福米沢油田を対象とした坑井刺激手法検討(水平坑井掘削、フラクチャリング、酸処理を含めた最適化)

2. 平成24年度「女川層タイトオイル開発に係る技術開発(その2:酸処理)」に係る共同スタディ

主な事業内容

  • 事前検討作業(酸処理流体の選択、圧入仕様の検討等、H23事業の検討成果も反映)
  • 酸処理作業等

なおタイトオイル開発には、上述以外の種々の重要な技術の適用が必要であることから、2013年度に関してJOGMECは女川層の資源量評価を目的とした共同研究を、JAPEXと別途実施する予定としている。