「Oracle SuperCluster T5-8」

日本オラクルは7月8日、同社が世界最速をうたって今年の4月に発表した「SPARC T5」サーバを利用したエンジニアド・システムズ「Oracle SuperCluster T5-8」を発表。それに合わせ、同社のハードウェア戦略を発表した。

「Oracle SuperCluster T5-8」は、16コアの「SPARC T5」プロセッサを最大8個搭載する「SPARC T5」サーバの上位機種「SPARC T5-8」を2台収容。オペレーティング・システム「Oracle Solaris 11」を搭載し、「Oracle Exadata」で実証済みのストレージ・コンポーネント「Exadata Storage Server」、ミドルウェアの処理を高速化する「Oracle Exalogic Elastic Cloud Software」、アプリケーション同士の高速な接続を実現する「InfiniBand」スイッチ、データ圧縮・重複排除機能を搭載した統合ストレージ基盤「Sun ZFS Storage 7320 Appliance」を事前に統合し、構成を最適化することで導入期間を短縮する。

「SuperCluster T5-8」の概要

「SuperCluster T5-8」の特徴

日本オラクル システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス チーフテクノロジスト 大曽根明氏は、「SuperCluster T5-8」は、データベースサーバ「Exadata」とアプリケーションサーバ「Exalogic」の強みを継承した製品だと語った。

「Exadata」と「Exalogic」の強みを継承

継承された「Exadata」の機能

三井住友海上あいおい生命では、生命保険契約者情報管理システムのクラウド基盤の刷新に、「SPARC T5」サーバを採用した。「SPARC T5」サーバの本採用は、同社が日本企業として初となる。

同社では、2020年までに契約件数が大幅に増加すると想定し、それに伴い契約者に関する業務処理件数も3倍以上に増加すると予測。契約者や販売代理店のニーズに応える安定的・高品質なシステム・インフラを整備・強化する一環で、コールセンターや代理店などと連携した契約者情報管理システムの基盤を統合・集約を行った。同社では、HW老朽化、契約高/処理量増加への対応、安定的・高品質なシステムインフラの構築、システム集約統合によるメリットを出すため、「SPARC T5」サーバを採用したという。

三井住友海上あいおい生命の新システムの構成

日本オラクル 執行役員 システム事業統括 飯尾光國氏

日本オラクル 執行役員 システム事業統括 飯尾光國氏は、同社のハードウェア戦略について、「我々は、ハードウェア専業ベンダーではないので、ハードウェア単体の性能を求めて設計することはない。今後は、ソフトウェア、ミドルウェアを含め、システム全体で最大のパフォーマンスを求めていく」と説明。 その上で、2014年の同社のハードウェア戦略として、「競合他社からのシェア獲得」、「Oracle On Oracleの価値訴求」、オラクルハードウェアのインストールベースを刷新」の3つを推し進めていくとした。

2014年度の日本オラクルのハードウェア戦略

「競合他社からのシェア獲得」について同氏は、IBM Power 780+フラッシュ搭載のIBM DS8850とSuperCluster T5-8を比較した場合、SuperCluster T5-8のほうが価格性能比は10倍になると、同社製品の優位性をアピール。

飯尾氏は、IBM製品に比べ価格性能比は10倍になると主張

日本オラクル システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏

日本オラクル システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏は、3つの戦略の中でもっとも注力するのは、「Oracle On Oracleの価値訴求」だと説明した。そして同氏は、「ソフトウェアがもっとも快適に動くということを積極的に訴求していく」と語った。

宮坂氏は、そのための施策として「顧客とのエンゲージメント強化」、「販売チャネルの強化」、「顧客の意思決定のサポート」の3つを行っていくとした。

「顧客とのエンゲージメント強化」では、タイムリーな情報発信を行っていくほか、「販売チャネルの強化」では、パートナーのカバレッジ拡大をサポートする。そのために、パートナー向けのオラクル・アカデミーの創設、定期的なトレーニングやセミナーの開催、パートナーの再販ビジネス拡大のため、パッケージソリューションの訴求を行っていくという。

「Oracle On Oracle」推進のための3つの施策

「顧客の意思決定のサポート」では、検証施設の強化・活用を行う。その一環としてこれまで東京・用賀にあった検証センター(「オラクル・ソリューション・センター」)を、本社の青山に移設。7月8日にリニューアルオープンした。同社では、ここを活用し、パートナーの新規顧客獲得を図っていく予定だ。

7月8日「オラクル・ソリューション・センター」のリニューアルを祝って鏡割りを行った

「オラクル・ソリューション・センター」内部