ローム、アクアフェアリー、京都大学の3者は6月4日、都内で会見を開き、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から個体水素源を用いた小型・軽量・高出力の水素燃料電池の実証試験を行うことを目的とした助成を受けることを明らかにした。
3者は2012年9月に発表した携帯用個体水素燃料電池をベースに全世界でのニーズの調査などを実施し、数百Wクラスの軽量、高容量な電源に対する要望が世界的に強いことを確認。これを受け、NEDOより助成を受ける形で、今後2年間にわたって、そうした用途に向けた燃料電池の実証試験が行われることとなる。
同実証試験は、京都市、秋田県、三重県、島根県、京都府の各自治体も参加する形で実施され、避難所などの緊急電源としての有用性、費用対効果、改善点などを確認するというもので、これらの過程を経て、2015年を目標に商用化を目指すとする。
また、こうした固体水素源燃料電池の実用化に向け、部材供給や製造技術の開発などを推進していくことを目的に、材料企業などを交えた開発アライアンスを構築。製品デザインについても、工業デザイナーである秋田道夫氏に参加してもらうことで、高い完成度を目指すとする。
今後は2013年秋を目標にプロトタイプの開発を行い、非常用電源としての基本的な機能の評価を実施した後、2014年の防災の日にフィールドテスト用燃料電池を用いて、各自治体で災害時の緊急電源としての実証試験を実施する予定だという。
なお、今回開発される高出力の固体水素型燃料電池の仕様としては、定格出力電圧は24±10%、定格出力電力200W(連続運転)、最大出力400W(1秒)で、燃料電池定格出力100W、連続作動時間120分(100W出力時)となっており、サイズは34cm×24cm×24cm(19.584l)で、重量は6~7kg。そのほか、USB接続に対応する5V出力機能や複数台を連結して大出力化を可能とする並列運転機能、AC100Vの出力対応機能なども搭載されているという。