デルは、サーバ、ストレージ、ネットワークおよび管理機能を1つのシャーシに収め、データセンターの機能を集約した新プラットフォーム「Dell PowerEdge VRTX(バーテックス)」を6月26日より販売開始すると発表した。

「Dell PowerEdge VRTX」

「Dell PowerEdge VRTX」は、サーバとしてブレードサーバ「Dell PowerEdge M520」および「Dell PowerEdge M620」を最大4台格納可能なほか、ストレージとしてSSDのほかホットプラグ対応3.5インチHDDを12台または2.5インチHDD 25台を搭載できる(HDDはどちらかのシャーシを購入時に選択)。

ストレージの最大搭載容量は48TBで、これらは独自の「Shared PERC 8」カード機能を搭載することで、4台のサーバから共有ストレージとしてアクセス可能。また、シャーシ内でのライブマイグレーションも可能だという。

Dell PowerEdge VRTXの正面

Dell PowerEdge VRTXの背面

PCIeスロットは最大8つまで拡張可能で、スイッチ機能も内蔵しているためネットワーク構成をシンプル化できる。

管理については、Webブラウザベースの管理画面が用意され、リモートからアクセスできる。

Webブラウザベースの管理画面。デルが提供する無償のシステム管理ソフトウエアOpenManage Essentialsを使用することで、直感的で地理的なマッピングを通じて稼働状態を把握できる(右)

「Dell PowerEdge VRTX」は、事務所内に置くことも想定しており、58~62デシベルの静音設計、コンパクトなシャーシ(高さ48.4cm、幅31cm、奥行き73cm)となっている。電源は110V ACを使用でき(220V ACの電源にも対応)、オフィスの電源をそのまま利用できる。また、冗長ファンモジュールおよび送風機モジュールを標準搭載する。

なお、VRTXはラックマウントタイプとタワータイプの2種類が用意され、ラックマウントタイプは5Uフォームファクタのラックに搭載することができる。

タワータイプ以外に、ラックマウントタイプも用意

最小モデル構成の価格は133万8,000円~で、この場合の構成は、RAIDコントローラ×1、1TB 3.5インチ NLSAS HDD×2、CMC(シャーシ管理コントローラ)、Express1100W PSU×2、1GbEの内蔵スイッチモジュール、PowerEdge M520×2(Xeon E5-2403、2GB RDIMM×2、250GB 2.5インチ SATA HDD)。

デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部 エンタープライズ・ビジネス開発部 部長 馬場健太郎氏

最近は、SMB向けにはクラウドへの移行を推奨することが多いが、今回オンプレミス型のシステムをリリースした背景を、デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部 エンタープライズ・ビジネス開発部 部長 馬場健太郎氏は、「データセンターへの集約は進んでいるが、WANの回線費用が高い、回線が低速、大量のデータがあり、データを拠点に置く必要があるユーザーもいる」と説明。

同社では支店などの拠点やスモールオフィス、教育機関などの一般オフィス用途のほか、病院・クリニックの電子カルテ、小売業のポスレジ、金融向けアプリ、工場の工程管理などでの利用も想定し、業界に特化したアプリケーションをセットしたモデルも用意して販売していく予定だ。

想定する利用用途

そのため同社では製品拡販にあたり、「ビジネスレディソリューション(BRS)プログラム」、「Dell ISVプログラム」、「VRTXパートナープログラム」の3つのプログラムを展開する。

「ビジネスレディソリューション(BRS)プログラム」では、拠点やスモールオフィス向けに仮想化ソリューションを組み込んで販売。利用可能な仮想化システムとしては、マイクロソフトのHyper-VとVMwareのvSphereを用意する。また、今後はVDIやDBを組み込んだモデルも販売する予定だという。

「ビジネスレディソリューション(BRS)プログラム」

「Dell ISVプログラム」は、パートナーが業界に特化したアプリを組み込んで販売することを支援するプログラムで、ISVが動作検証を行う環境を無償提供するほか、パッケージ作成、共同セミナー、Online露出などのマーケティング支援も行う。

「Dell ISVプログラム」

そして、「VRTXパートナープログラム」では、Dell PartnerDirect Programの認定パートナーに検証機やトレーニングを提供し、販売を支援する。

同社は新製品を「コンパクトデータセンター」と呼んでおり、馬場氏は、「あらかじめ組み込んで出荷するため、最小のコストで導入でき、ケーブルの接続や確認を最小化できる。この中でオフィスの環境を完結できる」と述べた。