富士通は4月30日、同社の2013年3月期(2012年度)通期決算の概要を発表した。
売上高は前年度比1.9%減となる4兆3817億2800万円、営業損益は同9.5%減となる952億7800万円、経常損益は同5.7%増の1054億3900万円となり、純損益は1505億円の特別損失を計上したことから前年度の427億700万円の黒字から、729億1300万円の損失へと、赤字転落となった。
売上高は為替の影響を除くと、約3%の減収となり、中でもパソコン、携帯電話、LSI/電子部品などのハードウェア製品が減収となったほか、前年度にあった次世代スーパーコンピュータシステムの売上高などが減った影響だとする。
セグメント別でみると、「テクノロジーソリューション」の売上高は前年度比0・3%増となる2兆9423億円。国内は同1.2%の増収となった。これは、サーバ関連やシステムインテグレーションの大型システム商談の減少や次世代スパコン案件がなくなったものの、ネットワーク関連がルータを中心に伸びたほか、公共分野を中心とした投資回復により増収となったとする。また、営業利益も前年度比96億円増となる1809億円となった。
また、「ユビキタスソリューション」の売上高は同5.5%減の1兆902億円となった。国内はパソコンが企業向けは大口受注があったものの、個人向け販売台数の減少や販売価格の低下により減収となったほか、スマートフォンの競争激化による伸び悩み、車載オーディオ・ナビゲーション機器のエコカー補助金制度終了などの影響から減収となったという。営業利益も同103億円減となる96億円と、ナビ関連の構造改革効果があったものの、円安による調達コストの増加やパソコンの販売価格低下の影響などを受けたとする。
そして「デバイスソリューション」の売上高は、同7.6%減の5403億円となった。国内は13.7%の元首で、LSIのデジタル家電市場の市況回復遅れのほか、自社サーバ向け製品の低迷、スパコン向けCPUビジネスがなくなったことなどの影響が大きいという。そのため、営業損益も同40億円減の142億円の損失となった。
同社は同期に1505億円の特別損失を計上している。内訳としては、事業構造改革費用が1162億円、減損損失342億円で、事業構造改革の中で最も大きな比率を占めているのがLSI事業の再編で903億円となっている。すでに同社は2012年10月に岩手工場をデンソーに、同12月に後工程製造拠点をジェイデバイスにそれぞれ譲渡しており、それらにかかる操業保障や人員関連費用などが計上されているほか、稼働率の低下にあえぐ基盤系工場の減損損失なども含んでいる。内訳としては、工場譲渡にかかる損失が331億円、基盤系工場の減損損失などが286億円、そして早期退職優遇制度の実施に伴う人員関連費用など284億円が主となっている。
なお、同社では2013年度の見通しとしては、円安の進行による輸出環境の改善や公共投資の押し上げ、個人消費の回復による製造・流通分野を中心としたICT投資の回復のほか、海外における欧州の信用不安の後退、米国での景気底入れの動きなどから、サービス事業、サーバ/ネットワーク関連機器、ナビ、電子部品などの伸長が見込めるとしつつも、上半期は携帯電話のスマートフォン需要の競争激化や海外サービス事業の下半期へのずれ込みなどが見込まれるとしており、上半期の業績は売上高2兆500億円、営業損益が100億円の損失、経常損益100億円の損失、純損益300億円の損失とするが、下半期には国内外のサービス事業やサーバ事業の伸長、LSIや電子部品の所要回復を見込んでおり、通期業績としては売上高4兆5500億円、営業利益が1400億円の利益、経常利益も1350億円の利益、そして純利益も450億円の利益になるとしている。
また、この業績にはLSI事業の再編に伴う事業構造改革費用を特別損失に織り込んだ数値になっており、一連の事業再編により、LSI事業の営業損益は2012年度の138億円の損失から、2013年度は80億円の黒字に転換することが見込まれるとしている。