Origamiは4月23日、次世代eコマースプラットフォーム「Origami」を同日より提供すると発表した。本稿では、同日行われたプレス向けのプラットフォーム説明会の様子をレポートする。
「Origami」は、「Redesign Commerce」「売る、買う、を新しく」をキーワードに開発されたeコマースプラットフォームだ。
現在のeコマースは、楽天を始めとするパイオニア企業が15年も前に構築した枠組みをそのまま引き継いでいる。ユーザーは、ショッピングサイトという大きな"箱"の中で、あらかじめ欲しい商品を思い浮かべながらショップを巡る。商品名で検索を行い、商品を選ぶというよりもショップを選ぶという感覚で、少しでも安いものを見つけて購入するというのが一般的な行動パターンだ。
そうしたeコマースの常識を打ち破るべく開発されたのがOrigamiである。「好きなネットワークをSNSに絡めて作り上げ、ユーザーそれぞれに最適化された形で購入に繋げるのがOrigamiのビックテーマだ」と株式会社Origami 代表取締役CEOの康井 義貴氏は語る。
Origamiはeコマースプラットフォームと称しているものの、「10兆円のeコマース市場と120兆円のオフラインリテールコマース市場の中間に位置するモバイルコマース」(康井氏)であるという。
現在のユーザーが15年前と異なるのは、多くがモバイル端末を保持していること。そこにはFeliCaなどの決済機能が備わっており、Webサイトだけでなく、現実のショップにおいても商品を購入することが可能だ。eコマース市場とリテールコーマス市場は合わせると130兆円。Origamiはこの巨大な市場をターゲットにしているのだという。
また、Origamiは、先に述べた通り、SNSベースのeコマースプラットフォームである。TwitterやFacebook、将来的にはau IDでもログインが可能で、そのIDを使ってブランドや他ユーザーをフォローすることで自分好みのネットワークを作り上げることが出来る。ユーザー同士も繋がり、ユーザーのアクティビティがネットワークを広げる契機になる。
ショップ側からすると、フォロワーに対して情報を届けられるメリットは大きい。ブランド力や技術力など、商品の総合的な価値を訴求できるため、従来のeコマースのように単純な価格の比較に陥るのを避けられる。出店者はオープン時ですでに500を超えているが、「やかんや水といった生活用品ではなく、『クオリティブランド』であり、ファッション、コスメティック、アクセサリー、アートギャラリーを重視している」(康井氏)という。
出店者のリスクが低いというのもOrigamiの特徴だ。
一般に、ブランドが独自にeコマースサイトを運営する場合、何もしなければ、トラフィックを増やしたり、新規客にリーチしたりすることができない。トラフィックや新規客の獲得のためにサードパーティーのプラットフォームに出店するという選択肢もあるが、こちらはこちらでプラットフォーム側の制約を受けることになり、ブランドのクオリティコントロールが難しくなる。また、出店による固定費用増が商品のプライシングに影響するといった問題も、eコマース参入に対する足かせになっていた。
そうした現状を鑑み、Origamiは初期登録、月額費用などを一切排除。収益モデルは成功報酬型トランザクションで、店舗の売上げに対してマージンを徴収する形態を採用したことから、出店者の負担を大幅に軽減している。
そして、Origamiのもう1つの特徴がO2Oである。
現在のeコマースは、オンラインの世界に閉じており、実店舗が全く生かされていないのが実情であると康井氏は語る。テクノロジーは実生活を豊かにするために存在しているのというがOrigamiとしての考えであるが、その実生活を営むフィールドである各ブランドの実店舗はネットサイトのショーケースと化している。
O2Oはもはや定番化した言葉であるが、オンラインのショップ情報と地図情報をマッチさせるだけではなく、店舗の在庫情報なども組み合わせることで、よりオフラインでの購買誘導が強化される。現在はまだ実装されていないが、将来的には店舗で試着などを行い、そのまま端末で決済を行うといった運用も視野に入れているという。