米ジュニパーネットワークスは2月21日、すでに出荷中のJunosV App Engine上で動作するアプリケーション「Mobile Control Gateway(バーチャルMCG)」を発表したが、このアプリについて、ジュニパーネットワークスはあらためて国内での説明会を開催した。
JunosV App Engineは、同社のエッジルータ「MXシリーズ」やアプライアンス「VSEシリーズ」上で、x86アプリケーションを動作させるためのソウトフエア・バーチャル化プラットフォームで、KVMをベースとしたハイパーバイザー。これにより、自社アプリケーションだけでなく、サードパーティ製のアプリケーションを動作させることが可能になり、多様なサービス提供が可能になる。
同社では、これまで個別に提供されていた、ファイアウォール、セキュリティ、負荷分散などのサービスを、JunosV App Engine上に統合することで、サービスの拡張性や展開スピード向上のほか、コスト削減を実現する。
バーチャルMCGは携帯キャリア向けの製品で、日立コミュニケーションテクノロジーズアメリカ社が開発したMME(Mobility Management Entity)/SGSNゲートウェイ・サービスを、JunosV App Engine上に移植したもので、シグナリングおよびコントロール(SGSN/MME)機能をLTE、3G、2Gの無線アクセス・ネットワークに提供する。ネットワーク機能を仮想化することで、モバイル通信事業者は需要の変動に合わせたキャパシティの拡張と縮小を迅速に行うことができるようになるという。出荷は年内を予定している。
このソフトウェアは、ジュニパーネットワークスが2013年1月に発表したSDN戦略「6-4-1」に基づいたもので、6つの主要原則、SDNに向けた4つのステップ、1つのライセンスモデルの数字からとったもの。
6つの原則とは、「明確な区分」、「最適な集中化」、「仮想化」、「オープンプラットフォーム」、「プロトコルの標準化」、「幅広い適用」の6つ。
明確な区分とは、ネットワーキング・ソフトウェアをマネージメント(Junos Space)、サービス(JunosV App Engine)、コントロール(Contrail Controller)、フォワーディング(Forwarding Plane)の4つのレイヤー(プレーン)に明確に区分し、ネットワーク内の各プレーンを最適化するためのアーキテクチャ基盤を提供すること。
最適な集中化では、マネージメント、サービス、コントロール機能の適切な機能を集中化することで、ネットワークの簡素化と運用コストの軽減を実現。
仮想化では、クラウドを活用することで、従量課金に基づく料金設定を実現し、価値に見合ったコストでサービスを提供し、弾力のある拡張性や柔軟な展開を実現する。
オープンプラットフォームでは、ネットワーク・アプリケーション、サービス、およびマネジメント・システムへの統合のためのプラットフォームを構築し、新たなビジネス・ソリューションを実現。
プロトコルの標準化では、複数のベンダーとの相互運用性や異種混合環境のサポートを実現するためにプロトコルを標準化し、選択肢を提供すると共にコストを削減。
そして、幅広い適用では、これらSDNの原則を、データセンターや企業ネットワークから、無線・有線サービスプロバイダーのネットワークまで、全てのネットワーキングとセキュリティを含むネットワーク・サービスに幅広く応用する。
これらの原則を定めた背景を、ジュニパーネットワークス サービスプロバイダービジネス統括本部営業開発本部 チーフアーキテクト 長滝信彦氏は、「SDNはプロトコルなど技術の話が先行しているか、ジュニパーではネットワーク要素から議論を始めており、それには6つの原則が必要だ」と述べた。
4つのステップとは「管理の集中化」、「サービスの抽出」、「コントローラーの集中化」、「ハードウェアの最適化」。
バーチャルMCGはこのうちのサービスの抽出にあたるという。ACG Researchの調査では、独立した物理的なアプライアンスと仮想化によるアプローチを比較した結果、モバイル事業者において導入までの時間を最大46%短縮し、最大61%の導入コストを削減できるとしている。
同社では、サービスをJunosV App Engine上で動作させて提供するメリットについて、サービス提供までの期間を短縮できる点、導入が容易で拡張性がありこと、ネットワーク構成をシンプルにできる点、管理や構成を集中させることによる、事業者の効率を改善できる点を挙げた。