東日本大地震被災地支援プロジェクト「kizunaworld.org」は2013年3月11日、同プロジェクト最後の作品「KIZUNA311」を発表した。

kizunaworld.org

「kizunaworld.org」は、音楽家・坂本龍一とメディアクリエイター・平野友康が立ち上げた、東日本大地震の被災地支援を長期的に行うためのプロジェクト。プロジェクト趣旨に賛同したアーティストから提供される音楽作品や映像作品に対して、1口1,000円から寄付を募る。2011年4月の立ち上げ以来、同プロジェクトでは毎月新たな作品を発表していたが、震災から2年を迎えるにあたり区切りをつけ、最後の作品を発表することとなった。

同プロジェクトから発表される最後の作品は、坂本龍一が被災地の今を想い制作した音楽に、田島一成による映像をあわせた「KIZUNA311」。通算30本目となる作品で、「過度に情緒的な表現をせずに、悲しみと喜びを微差で表現」したものとなっている。作品の発表はこれが最後となるが、これまでに発表された作品に対する寄付は引き続き受け付ける。

なお、このプロジェクトの区切りにあたり、「震災後2年のご挨拶」として坂本龍一ならびに平野友康がコメントを寄せている。

坂本龍一のコメント

2年目の3.11を迎え、あれからずいぶん時間がたったようでもあり、昨日のことようでもあり、複雑な感情にとらえられています。改めて犠牲になった方々の冥福をお祈りするとともに、被災された方々が早く安寧な日常を取り戻すことを願うものです。

2011年4月よりkizunaworldをおこし、被災地への寄付を行ってきましたが、3.11の2周年を迎え、その役目はまっとうしたのではないかと思っています。何といっても、今まで無償で作品を提供してくださった世界中のアーティストのみなさん、彼らの深い同情心に尊敬と感謝を捧げます。また寄付をしてくださったみなさんに、大きく「ありがとう」を言いたい。そして、忙しい仕事をぬってサイトをデザインし、運営してくれた平野氏を筆頭とするデジタル・ステージのスタッフに、大きな感謝を捧げます。

最後に、なかなか進まない復興にいら立ちながらも、単に昔の姿に戻すだけではない、日本の地方のあり方の、新たなモデルになるような復興が、いち早く実現することを、切に願うものです。

平野友康のコメント

今回の坂本龍一氏の新曲「KIZUNA311」の作品発表を以て、このkizunaworldの活動に一旦の区切りをつけることになります。改めて、この活動にご参加いただいた国内外のアーティストの方々、関係者の方々、そしてご支援を頂いた皆様に深く感謝を捧げます。ありがとうございました。

作品発表という形での更新は終わりになりますが、世界中から30もの作品が寄せられたこの活動を、今後何らかの形で残せないかと考えています。そこで、作品を寄せて頂いたアーティストの方々はもちろん、そして今まで寄付してくださった方々のご意見も求めながら、これまでのkizunaworldの集大成のようなものを模索していきたいと思っています。そしてそうした活動そのものも、被災された方々の支援に繋がるよう取り組んでいければと思います。

今だ元通りの日々とはかけ離れた暮らしをされている多くの被災された方々のことを思うとき、わたしたちが生きていくことの意味と、残された者がすべきことについて考えさせられ続けたこの2年でした。そして、これからも考え続けていかなければならないのだと強く感じます。改めて、3.11の犠牲になった方々への冥福をお祈りいたします。