三菱マテリアルは2月18日、同社の連結子会社である菱光産業が東京大学 工学系研究科の中尾 教授ならびに永田精機の技術研究所と共同で、プラズマを使用した注射針の低痛化処理装置を開発したことを発表した。
患者の負担を減らすことを目的に、注射針を刺す痛みを軽減する技術開発が各所で進められている。例えば針の径を極細にすることで、痛みを感じさせなくする手法などが考案されているが、細くなると折れる危険性が増すことになるほか、内部を薬液がスムーズに通過しない可能性もある。また、針へのシリコーン塗布なども研究されているが、シリコーンによるアレルギー発症が危惧されるなど、課題があった。
一方、これまで静脈針や経皮針、透析用針などの分野では、そのほとんどが砥石研磨のあと、電解研磨により先端を鋭利化してきたが、電解研磨では形状変更に限界があり、十分な低痛化が図れていないという問題もあった。
今回開発された低痛化処理装置の場合、砥石研磨後にプラズマ処理工程を取り入れることで外径の太い針も針先端を凹状に先鋭化が可能になり、その結果、電解研磨法の針に比べ刺通抵抗が45%程度低下したほか、シリコーンを塗布した状態と比較しても20%程度の低痛効果を実現できるようになるとしている。
なお、菱光産業では、すでに国内医療機器メーカーに向けプラズマ処理による注射針の低痛化処理装置の販売を開始しているとしているが、今後は医療分野に限らず、プラズマを用いてさまざまな分野の課題解決に向けて取り組んでいく方針としている。