垂直統合基盤へ向かう仮想化ベンダー

阿部氏はIT市場調査会社のミック経済研究所で、無線通信・RFID、仮想化・クラウド、コラボレーションツールなどを担当するITアナリストである。同氏が特に注目しているのは、今までにない新しい価値あるものを創出する"新市場"だという。無論、今回のセミナーのテーマである仮想化もその1つである。

ミック経済研究所 アナリスト・リサーチャー 阿部透氏。2月15日(金)に開催する仮想化セミナー『【Day3】仮想化統合のその先へ ~ VMwareと垂直統合基盤で「変化」に強い基盤を創る~』に登壇予定

企業ITインフラのあり方を検討する際、今や仮想化は欠かせないテーマになっていることには言を俟たないだろう。関連技術および製品が進化を続け、サーバ仮想化技術を中心に活用のアプローチが広く浸透し普及を遂げていったことで、市場は成熟期に入ったと言える。そうした中、ITベンダー側の主要な動向として、垂直統合基盤への指向が目立ってきている。ここでの各社のメッセージはおおむね、物理環境から仮想化環境への移行で発生する管理対象の急増や複数システムの相互運用性の低下などがもたらす"仮想化が招いた複雑化"の解消に主眼が置かれている。

この点について阿部氏は、「垂直統合は、サーバやストレージばかりでなく、ここにきて注目が集まり始めたネットワークの仮想化や、仮想化のその先にあるプライベート・クラウドやパブリック・クラウドなどが相互につながる柔軟な連携基盤を目指した動きと言えます。複数かつ多岐にわたる各種システムの差異を意識せずとも活用できるようになるなど、本来的にはユーザー企業にとって非常に有効なアプローチだと見ています。ただし、ユーザーの側としてはベンダー・ロックインへの懸念などもあって、具体的なメリットが見えずにいるIT担当者は少なくないようです」と語る。

2月15日(金)の阿部氏のセッションでは、中立的な立場からあらためてユーザーにとっての仮想化の意義や垂直統合側プラットフォームがもたらすメリットについて考察がなされるという。

阿部氏が登壇するマイナビニュース仮想化セミナー『【Day3】仮想化統合のその先へ ~ VMwareと垂直統合基盤で「変化」に強い基盤を創る~』の申し込みはこちら

技術の進展によって仮想化導入の機が熟す

今日語られている仮想化技術が普及のきざしを見せたのは今から7年ほど前、2006年頃にさかのぼる。当時から約3、4年の間は技術的に発展途上段階であり、先手を打って導入に乗り出すのは、一部の先進的なユーザー企業に限られていた。

「当時は不安要素の多いテクノロジーだとみなされていました。そもそも、基幹のデータベースなどは仮想化があまり向いていないうえ、技術や製品が未成熟でした」と阿部氏。同氏によれば、その後、仮想化との親和性が高い領域から徐々に使われていき、2010年頃から業務アプリケーション・パッケージが仮想化環境での稼働を前提にしはじめたことで、基幹システムへの導入を試みる企業が増えていったという。「その意味で、今は仮想化の成熟期で、その先のクラウド環境までも見据えて構築や運用の検討に乗り出した企業が増えています」(阿部氏)

今後は「仮想化によるサーバ集約・統合」の先へ

複数のサーバを仮想化して集約・統合を図ることでコスト削減や運用の効率化を図るといった典型的な活用のアプローチは、ある程度大きな規模のITシステムを運用する企業であれば多くが経験済みであることだろう。

「その次になすべきアプローチの1つとしては、やはりクラウドとの連携がメインになってくるでしょう。集約や統合をすでに済ませて下地がすでにできているので、そんな困難な話ではありません」と阿部氏。仮想化から標準化、自動化とステップを踏んでいく中で、IT部門にとってのシステムの構築や運用管理の効率化だけでなく、事業部門のユーザーがよりビジネス価値を生み出しやすくなるような形で仮想化/オンプレミス環境、プライベート・クラウド、加えて一部の領域でパブリック・クラウドの各環境の連携が進んでいくという。

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阿部氏は、2月15日(金)に開催される『マイナビニュース仮想化セミナー【Day3】仮想化統合のその先へ ~VMwareと垂直統合基盤で「変化」に強い基盤を創る』に登壇する。当日の阿部氏のセッションでは、本稿で触れたトピックの詳細や、VMwareをはじめとする仮想化ソフトウェアのトレンドなどが解説される予定だ。セミナーのタイトルにあるように、仮想化統合の「その先」を模索している方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。