東レ(本社・東京都中央区)は、直径150ナノメートル(nm、1ナノは10億分の1)という世界最細の超極細ナノファイバーと、断面形状がY型をした異型断面ナノファイバー(繊維径500 nm)の開発にそれぞれ成功したと発表した。ともに繊維重量あたりの表面積がこれまで以上に大きく、繊維どうしの隙間も任意に制御できることから、吸湿性や吸水性、保水性、摩擦係数などの特性が向上し、濾過(ろか)・分離性能や払拭性能も高レベルで発揮できるという。

開発された超極細ナノファイバー(左)(提供:東レ)

今回の開発は同社独自の超微細ポリマー流制御による精密複合紡糸技術によるもので、超極細ナノファイバーは、これまでナノファイバーの「細さ」の限界とされた直径300nmを半減させた。フィルターとして用いた場合、3次元で均質かつ緻密な構造体となり、濾過・分離機能が大幅に向上する。半導体や液晶パネル製造のクリーンルームのエアフィルターに採用した場合、静電処理などの後加工を必要とせずに、エレクトレット・フィルター(静電フィルター)と同等以上の集じん効率をもつ。

Y型の異型断面ナノファイバーは、断面に凹部を持つため、接触する材料との間に大きな圧力が加わることで、ワイピング(払拭)性能がこれまで以上に向上する。さらに、繊維間の隙間に汚れが吸収、保持されるので、ふき取った面には微細な汚れも残らないという。

これらのナノファイバーは、機能性を生かした快適衣料やスポーツ衣料などのアパレル製品、フィルター材料や医療材料といった産業資材としての用途など、幅広い領域での活用を見込んでいる。

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