富士通は、サーバ、ストレージ、スイッチなどのハードウェアに、データベースなどのソフトウェアを一体化した垂直統合型データベースシステム「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」(以下、 Integrated System)を開発し、販売を開始した。価格は6,730万円(税別)で、2013年1月下旬より出荷が開始される。

「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」

Integrated Systemは、サーバに「PRIMERGY」、ネットワークに「SR-X」、ストレージに「ETERNUS」と同社製品を採用。データベースは、同社のSymfowareを採用し、インタフェースとしてPostgreSQL互換を実現する。OSはRedHat Enterprise Linuxを搭載する。

ハードウェア構成

富士通では、これらをインテグレーション技術で統合し、垂直統合プラットフォームとして提供する。同社ではビッグデータの浸透により、中小企業の顧客が増えており、コストを重視した中規模から大規模の顧客をターゲットにしているという。

富士通 統合商品戦略本部 SVP 谷村勝博氏

CPUは、Intel Xeon E5-2690(2.90GHz/8コア/20MB)×2、メモリは160GB、ストレージはPCIe SSD 1.2TBとHDD 9TB、ネットワークは1Gbit/sイーサネット、または10Gbit/sイーサネットで、ユニット数は10U。

今回の商品を開発した背景を、富士通 統合商品戦略本部 SVP 谷村勝博氏は、「最近のシステムはオープン化が進み、システムの混在・複雑性による設計・導入の長期化、および運用コスト増が顕著になっている。現在のICTコストは、新規投資が3割で、既存システムの運用保守が7割くらいを占めている。これを5分5分にしたいというのがお客様の目標だ。そのため、システムの最適化を実現できる『垂直統合』が解決のキーワードになっている」と説明。

富士通 IAサーバ事業本部 本部長 遠藤和彦氏

また、富士通 IAサーバ事業本部 本部長 遠藤和彦氏は、「この10年でのハードウエアやソフトウェア技術の進化はめざましいが、これらを組み合わせたときに、能力を最大限に引き出すのは難しい。そこで、富士通の最適な組み合わせ、運用ノウハウを組み込んだIntegrated Sysytemsを発表した」と語る。

今回のシステムは、PCIe SSDにデータベース全体を搭載することにより、I/Oボトルネックを解消してCPU性能を引き出し、従来の同社のデータベースシステムの最大20倍の性能でトランザクション処理が行えるという。

インメモリ技術

また、Symfoware独自のミラーリング技術によってシステムを完全二重化し、さらにデータをストレージシステム「ETERNUS」に自動バックアップする三重化構成で提供している。

ソフトウェアはリソースチューニングが実施された状態で提供され、導入・設定作業が不要だという。

富士通 ミドルウェア事業本部 本部長 新田将人氏

富士通 ミドルウェア事業本部 本部長 新田将人氏は、「データベースもインストールされ、チューニングも行われている。通常はデータベースチューニングに2.5カ月程度かかるが、このシステムはその作業が不要で、1日で導入できる。そのため、ビッグデータ時代でも安定した性能を実現できる」と説明する。

そのほかシステム運用面では、システム全体の稼働状況が一目で分かるように、運用管理ソフトウェア「Systemwalker」の技術を用いた監視機能を搭載し、実績から型決めしたリカバリーパターンに基づくバックアップとリカバリー機能をあらかじめ搭載している。

ハードウェアは二重化されており、故障時には10秒で切り替えが可能だという。また、パッチファイルも正副を切り替えながら自動適用するので、業務を止めることなくメンテナンス作業が行える。

富士通では、今後3年間で300システムを販売する計画で、今後は、DWH向けにより大規模なものや、BI/BA機能を搭載した商品を提供していく予定だという。

今後の提供予定製品