米航空宇宙局(NASA)は、太陽系の惑星のうち、最も太陽に近い水星の南北極域に大量の氷が存在することを示す確証を、探査機「メッセンジャー」の観測によって得られたことを発表した。
水星は赤道付近の表面温度が400℃以上にもなるが、1991年のプエルトリコにある電波望遠鏡による観測で、南北の両極に強いレーダー反射があることが分かり、氷の存在の可能性が指摘されていた。これは、水星の自転軸が公転面に対してほぼ垂直なことから、極域にあるクレーターには永久に日陰となっている部分があると考えられるためだ。
NASAは、「メッセンジャー」のレーザー高度計による北極域での地形解析や「中性子スペクトロメーター」を使って水素の分布や量など観測をした結果、確かにクレーターの日陰部分に氷が存在していることが分かったという。水星の氷の起源については、小惑星の衝突などが考えられている。
これらの新たな知見は3本の論文にまとめられ、米科学誌サイエンスのオンライン版「サイエンス・エクスプレス(Science Express)」に11月29日発表された。
探査機「メッセンジャー」は2004年8月打ち上げられ、6回のスイングバイを繰り返して2011年3月に水星周回軌道に入った。その後、運用を1年間延長して、今年3月まで観測を続けた。
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