「MX2020 3D ユニバーサル・エッジルーター」

ジュニパーネットワークスは10月23日、プロバイダの向けのエッジルータの新製品として、「MX2010/MX2020 3D ユニバーサル・エッジルーター」2機種と、エッジ向け初のハイパーバイザーである「JunosV App Engine」を発表した。

今回発表されたエッジルータは、同社のMXシリーズの最上位機種に位置づけられ、システム容量は、従来の最上位機種であったMX960の3.84Tbpsに対し、MX2010は40Tbps、MX2020は80Tbpsとなっており、同社では、次の10年に向けた収益の最大化と拡張性を実現する製品としている。

MXシリーズのラインナップ

MX2020およびMX2010のスイッチファブリック、ルーティングエンジン、電源、ファントレイなどのコンポーネントは共通で、ラインカードは従来機である「MX240」、「MX480」、「MX960」のものを流用できる(別途アダプタが必要)。いずれもスロット当たりのスケーリング容量(全二重)は2Tbps。

MX2020は、20スロットを搭載したフルラックのユニバーサル・エッジルーティングプラットフォームで、最大80Tbps(半二重)まで拡張可能。初期状態では、8個のスイッチファブリックボード(SFB)が装着され、17.2Tbpsのスイッチング容量が提供される。初期最大パケット転送スループットは37.6億ppsで最大ラインカード数は20。

X2010はMX2020より小型の10スロットで、初期状態では8個のSFBが装着され、8.6Tbpsのスイッチング容量が提供される。初期最大パケット転送スループットは18.8億ppsで、最大ラインカード数は10。

ジュニパーネットワークス マーケティング部統括部長 近藤雅樹氏

これらの製品を発表した背景として、ジュニパーネットワークス マーケティング部統括部長 近藤雅樹氏は、ガートナーの調査データをもとにモバイルデバイス/クラウドの拡大、動画&コンテンツの増大を挙げた。

モバイルデバイスについては、現在60億といわれるモバイルデイバイスが、2020年には500億となり、端末がネットワークに接続されると予想され、クラウドについては、2016年には1,000億ドル以上がパブリックITクラウドサービスに費やされるという。

そして、動画&コンテンツでは、2015年までに60%以上のブロードバンドトラフィックが動画やオーディオで占められると予測されるという。

巨大な転換点となる背景

そして、同氏はこうした巨大な転換点においてサービスプロバイダが求めているものとして、「サービス拡張による新たな収益源」、「新規サービス展開のスピード」、「急増するトラフィックに対する拡張性」の3つを挙げた。

巨大な転換点にプロバイダに求められるもの

サービス拡張では、「統合型キャッシュサービス」、「オンライン広告やWebフィルタリング」のほか、「JunosV App Engine」によるサードパーティ製アプリケーションの実行や同社提供の仮想セキュリティサービスを提供する。

新たな発表された製品およびサービス概要

「JUNOSコンテンツ・アンコア」

「統合型キャッシュサービス」では、新たなラインカード「JUNOSコンテンツ・アンコア」を提供。このラインカードとJUNOS SPACE コンテンツ・ディレクターにより、エッジルータ上でビデオ・オン・デマンドやマルチ・スクリーン・サービスを提供できるようになる。「JUNOSコンテンツ・アンコア」は、モジュラー型のx86エンジンで、6.4TBのストレージを搭載し、カードあたり40Gbpsのストリーミング容量がある。このカードはMX2010/MX2020のほか、MX240、MX480、MX960でも利用できる。

「オンライン広告やWebフィルタリング」では、エッジルータ上で、オンライン広告や子供向けに不適切なコンテンツのフィルタリングを実現する。

「オンライン広告やWebフィルタリング」

「JunosV App Engine」は、KVMをベースとしたハイパーバイザーで、エッジ・ルータ上で一般的なx86アプリやサードパーティ製アプリを動作さることが可能だ。現在、サードパーティからの開発表明はないが、同社では独自アプリとして仮想セキュリティ・サービス「JunosV Firefly」を提供する。これにより、同社のエッジ・ルータを導入したプロバイダは、顧客別にセキュリティサービスを提供できる。

「JunosV App Engine」

また、ADSLモデムやブロードバンドルータなど、通信サービスを利用する際に顧客宅に設置する端末CPE(Customer Premises Equipment)で実現する一部機能(NAT、ファイアウォール、DHCPなど)を、エッジルータ側で実現するクラウドCPEサービスも提供。これにより、顧客側CPEの機能を簡素化できるという。

クラウドCPEサービス

そして、同社では運用面のメリットとしてTCOが最大42%削減され収益性が向上し、「新規サービス展開のスピード」をサポートし、他の市販ソリューションとの比較で最大69%の高い速度により、「急増するトラフィックに対する拡張性」を実現するとした。

TCOの削減とサービスの高速化