日本IBMは8月29日、運用管理にかかる負荷を抑え、安定的に稼働できるメインフレーム「IBM zEnterprise EC12」(以下、zEC12)の発売を、同日より開始すると発表した。9月20日から出荷を開始する。

「IBM zEnterprise EC12」

同製品は、異機種混在の仮想サーバ最大10万台を1システムとして統合でき、複数のトランザクション間でメモリ競合を回避するための機能、トランザクショナル・メモリー・テクノロジーを商用サーバとして初めて採用した。従来製品「IBM zEnterprise 196」(以下、z196)よりも、動作周波数は5.2GHzから5.5GHzへ約5.7%向上し、1秒間あたりの命令処理数は520億回から780億回(78BIPS: Billion instructions persecond)へ約1.5倍になり、1きょう体あたりに搭載できるプロセッサ・コア数は96個から120個へ1.25倍に増加した。

また、過去90日間分のログを分析して障害につながる兆候を事前検知し、システムの可用性向上と運用管理の負荷軽減を可能にするソフトウェア「IBM zAware」や、システム本体に搭載することで入出力処理を高速化するフラッシュ・メモリ「FLASH Express」、暗号処理カード「Crypto Express4S」など、新たな機能を追加。

「IBM zAware」は、ハードウェア資源、オペレーティング・システムであるz/OS、およびz/OS上に搭載するソフトウェアを一元的に管理でき、入出力処理やディスク容量など、過去90日間分のログをもとに、性能劣化を引き起こす兆候を事前検知し、管理者に通知することができる。

「FLASH Express」は、メモリよりも安価でハードディスクよりも高速なメモリ・カード・デバイスで、メモリとディスクの速度性能格差に起因する入出力処理の遅延を改善できる。

「Crypto Express4S」は、PCIe内部で完結したデータ入出力処理を可能にし、暗号処理エンジン「CPACF」をプロセッサコアごとに搭載することで、セキュリティの強化を行う。

そのほか、データ分析ソフトウェア「IBM DB2 Analytics Accelerator for z/OS V2.1」と、データウェアハウス・アプライアンス「IBM Netezza 1000」を連携させることで、通常は1日1回のバッチ処理により1時間かかる分析処理を、8秒以内で処理できるようになった。