日本オラクル 代表執行役社長兼CEO 遠藤隆雄氏

日本オラクルは7月11日、2013年度事業戦略説明会を開催し、同社全体の戦略にはじまり、インダストリー戦略、ソフトウェア製品戦略、ハードウェア製品戦略について説明を行った。2013年度は、前年度のスローガン「Simplify IT」に加え、「Unleash Innovation」の実現を目指す。

代表執行役社長兼CEOの遠藤隆雄氏は、同社全体の事業戦略について説明した。同氏は「『Unleash Innovation(イノベーションの解放)』を迅速に実現するには、シンプルなITが不可欠であるため、今年は『Simplify IT』と2本立てで行く」と語った。

「全世界の経済成長の3分の2が新興ビジネスによるものという予測が出ており、企業が成長を果たすには新たなビジネスモデルや技術が必要」と、成長を目指す企業にとって、イノベーションが不可欠であることを訴えた。

日本オラクル ソフトウェア事業統括 副社長執行役員 大塚俊彦氏

『Unleash Innovation』の例として、「ワークスタイルの変革」と「カスタマー・エクスピリエンスの提供」が挙げられた。遠藤氏は、カスタマー・エクスピリエンスが重要な理由について、「ある調査では、製品・サービスを他人に薦める理由として、回答者の55%が『素晴らしい対応を受けた時』と答えており、他社との差別化を図るうえで、カスタマー・エクスピリエンスを提供することは重要」と述べた。

副社長執行役員 ソフトウェアライセンス事業 大塚俊彦氏からは、同社が強化しているインダストリー戦略について説明があった。同氏によると、業種ごとにアーキテクチャの整備が進められており、「各業種のほとんどの業務をオラクル製品でカバーできている」という。

あわせて、営業体制も製品別と業種別に2つの軸をもとに構築されている。業種別の組織としては、「通信営業統括部」「製造営業統括部」「金融営業統括部」「流通・サービス営業統括部」「公共営業統括部」の5つの組織がある。

インダストリー戦略の一環として、2013年1月に同社として初のインダストリーイベント「Oracle Industry Leadership Summit」の開催が紹介された。

日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括 三澤智光氏

ソフトウェア製品の事業戦略については、専務執行役員 製品事業統括 三澤智光氏が説明を行った。同氏は、「当社は研究開発に多大な投資を行っており、投資の成果であるIPをうまく使ってもらうことで、企業のイノベーションをサポートしたい」として、「ITベンダーが企業のイノベーションに貢献できることは、データを価値に変えるスピードを向上すること」と述べた。

「オラクルはすでに企業がデータを価値に変えるスピードを向上している」と同氏。その証として、同社のデータベース「Oracle Database」が、1996年の「Oracle 7」から現行バージョンの「Oracle 11g」にかけて、性能は200倍に向上している一方、コストは約100分の1に下がっていることが示された。

Unleash Innovation」の実現するためのメインの製品として、「Oracle Engineered Systems」と「Oracle Cloud」をプッシュしていく。「今年度は、Oracle Engineered SystemsのOracle Applications、Oracle EPM/BI、Oracle Fusion Middleware、Oracle Databaseの4つのアプリケーションに加え、Oracle CloudのOracle Fusion ApplicationsとOracle Customer Experienceを強化していく」と三澤氏。

日本オラクル バイスプレジデント システム事業統括 飯尾光國氏

さらに、同氏は「Oracle Cloudと他のクラウドサービスの差別化ポイントは「Engineered Systemsによって提供している点」と語った。

システム事業については、バイスプレジデント システム事業統括 飯尾光國氏が説明を行った。2013年度にシステム事業がフォーカスするテーマとしては、「汎用プラットフォーム」「Engineered Systems」「クラウド/ビッグデータ領域のストレージ」が挙げられた。

同氏は、同日発表された、Oracle Solaris 11と SPARC T4を搭載した「SPARC SuperCluster T4-4」の初の日本企業による導入事例を紹介した。