富士通研究所は7日、スマートフォンのカメラを用いて人の肌の色を正確に測定する技術を開発したと発表した。これにより、スマートフォンを用いて肌の状態(肌の色、シミ、毛穴の目立ち度)を測定することが可能となる。同社では、すでに社内で実証実験を実施しており、実験で得られた知見をもとにさらに改良を行い、2012年度中の商用化を行う予定。
これまで、肌の状態を測定する場合、ユーザーが化粧品メーカーなどの店頭に出向いて、専門家が専用機で測定するのが一般的であったが、ユーザーにとっては店頭まで出向くのが面倒なことから、家庭で手軽に肌の状態を測定したいという要望があった。
一方、スマートフォンのカメラの高性能化に伴い、ユーザーが手軽に家庭で肌の状態を測定できる可能性が出てきた。しかし肌の色に関しては、各家庭にある照明の影響などにより、本来の色とは異なった色に測定されてしまう課題があった。
そこで、富士通研究所は、新規に考案した「カラーパッチ」を用いることにより、正確な肌の色に補正する技術を新たに開発した。カラーパッチは、日本人の肌色データ(約4,000点)を参考に、補正精度を確保しやすい基準色4色を選択。その4色を、カラーパッチ開口部の周りに4箇所対称に配置している。そして、撮影した基準色と、基準色本来の色との差分から、肌の色を補正する。富士通研究所 メディア処理システム研究所 手塚耕一主管研究員によれば、撮影した画像の色差は、カラーパッチを使用すると約1/6になるという。
具体的な利用は、ユーザーはカラーパッチを肌に当て、スマートフォンで肌を撮影。この時撮影された肌の画像は、あらかじめ色の情報が正確に判っているカラーパッチ内に配置された基準色パターンといっしょに撮影されるため、肌の色と基準色との色の差分情報を用いることで、肌の色を正確に補正する。また、基準色のパターンを4パターンさまざまな角度に配置することで、照明の角度などにより色むらが生じた場合でも正確に補正することが可能だという。
また同研究所は、撮影の際に髪の毛や指などがカラーパッチ内の基準色パターンに多少映り込んだ場合でも、正確にカラーパッチの各色の領域を抽出することが可能とする自動抽出技術も合わせて開発した。
富士通では今後、撮影方法をより簡単にするためのユーザビリティ向上に取り組んでいくほか、対応するAndroid端末の機種を増やし、スマートフォンから吸い上げられるビッグデータを使った新たなサービスの創出を目指す。当面は、化粧品会社や百貨店がターゲットだという。