矢野経済研究所は4月18日、2011年11月~2012年3月に行った電子書籍市場調査の概要を公開した。同調査は国内出版社や印刷会社、出版取次会社など約70社を対象に実施されたもの。

発表によると、2010年度の電子書籍市場規模は670億円となっている。前年度から6.3%増加しているが、同社は「コンテンツが不足しており、電子書籍市場はまだ立ち上がりの段階」と見ている。また、2011年度の市場規模を723億円と予測し、日本では著作権の扱いや既存出版流通との関係など、多くの課題があることから、爆発的な市場拡大ではなく、国外サービスの参入などを経ながら段階的に成長を続けると分析している。

電子書籍市場の規模推移(発表資料より)

また、同社は電子書籍市場の今後について、2014年度は1197億円、2015年度は1500億円まで市場規模が拡大すると予測している。2012年に米Amazonが日本の電子書籍市場への本格進出を予定していることなどから、外資参入をきっかけとするコンテンツの拡充や電子書籍リーダーの改良により、電子書籍市場は2年から3年後に本格的な拡大期見込まれるとしている。コンテンツの種類についても言及しており、コミックは増加を続けるもののしだいに頭打ちとなり、2015年度頃には文芸書をはじめとした書籍コンテンツが、コミックの市場規模を上回ると見ている。

同レポートは全207ページで構成され、書籍版とPDF版が矢野経済研究所のWebサイトで販売されている。