チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ 代表取締役社長 藤岡健氏

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、3月16日、無料の新サービスとして、セキュリティ・リスク分析サービス「3D Security 分析レポート」を提供開始すると同時に、2012年度の事業戦略について説明した。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ 代表取締役社長 藤岡健氏は、2011年度のビジネスを総括し、「ワールドワイドでは、12億4,700万ドルの売り上げがあり、対前年比で14%増と非常によい数字となっている。日本の売り上げは、対前年比29%でビジネスを終えており、2012年度は28%増を目標にビジネスを推進していく」と、同社のビジネスが好調に推移している点を強調した。

同社の業績の推移

同氏は業績が好調であった理由として、金融、通信、官公庁系が伸びている点、外部からのアタックが増え、IPSが堅調な伸びを示した点、アプライアンスの新モデルが昨年10月にリリースされ、リプレース需要があった点の3つを挙げた。

藤岡氏は、2012年のセキュリティトレンドとして、モバイルデバイス、QRコードの普及と悪用、ソーシャルエンジニアリングを狙った攻撃、マルウェアの産業化(専門の集団が企業に販売)、ボット・ネットによる企業のバックドア、IPv6への移行に伴うセキュリティの考慮など9点を挙げ、「毎日、亜種が出てきており、攻撃が多様化している。そのため、セキュリティはこれでいいということにはならず、日々強化していかなければならない。最近は、ファイアウォールだけでは防げなくなってきており、多層防御を考えていかなければならない」と述べた。

2012年セキュリティのトレンド

そして、2012年度の戦略として、Firewall+VPNユーザーに向け、同社のThreat Preventionの追加導入を進めていくと同時に、旧アプライアンスから新アプライアンスへの移行も、昨年に引き続き促進するという。そのほか、これまで専用の機器を使っているユーザーに対し、リプレース時期を焦点に、1つのアプライアンスで複数のセキュリティソリューションを実現できる同社のSoftware Bladeを浸透させていくという。

Threat Preventionの追加導入を促進

旧アプライアンスから新アプライアンスへの移行を促進

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ システム・エンジニアリング本部 本部長 安藤正之氏

また、システム・エンジニアリング本部 本部長 安藤正之氏は、最近のセキュリティの事情について、「昨年はAPT攻撃が激しい年だったが、今年もこの傾向が続く。毎秒100を超える攻撃が行われており、シグネチャを更新するような対策では追いつかなくなっている。そのため多重的な防御が必要だ。われわれは、これらを統合して提供し、パフォーマンス、シンプル、コストの低減を実現できる」と、同社のソリューションをアピール。

同社のThreat Preventionのメリット

とくに、IPS Software Blade、Anti Malware Software Bladeに加え、今年の4月以降に追加予定のAnti Bot Software Bladeの3つが防御のキーになるという。また、Anti Virus Software Bladeも強化し、シグネチャの処理の一部をクラウドで行うことにより、パフォーマンスを向上させるという。新しいAnti Virus Software Bladeは、3月末以降にリリースされる予定だ。

新たに投入予定のAnti Bot Software Blade

そのほか、パートナー支援も強化し、「3D Security Analysis Report」という無料サービスを16日にリリースした。これは、企業のセキュリティ環境を統合的に分析し、リスクの有無などを報告するサービス。セキュリティ・リスクの高いアプリケーションやWebサイト、侵入の試み、機密データの漏洩、帯域の浪費など、すべてのセキュリティ脅威を分析し、その結果、どのような脅威があるのか、緊急性はどのくらい高いのかなどを、分かりやすいグラフィカルなレポートで詳細に解説する。分析結果を得るために要する時間は最短で約1時間で、その間ネットワーク環境への影響もないという。

、「3D Security Analysis Report」

同社では、パートナーにこのサービスを顧客へのアプローチツールとして活用してもらい、新たな顧客の獲得につなげたい考えだ。

また、IPS Managed ServiceとSMB Cloud Serviceという2つのManaged Serviceを同社のパーナーを通して展開し、ファーストコンタクトツールとして活用するという。とくに、SMB Cloud Serviceは、SMB市場の開拓ツールとして利用する考えだ。

藤岡氏は、「これまでは、ハイエンドユーザーが多かったが、今後はSMBも強化していきたい」と語った。