ATENジャパンは2月1日、リモート管理に加えてエネルギー管理まで行えるPDU(Power Distribution Unit)「eco PDU」を発表した。同製品はセンサーからデータを収集可能で、管理ソフトウェア「eco Sensor」と併用することで、データセンター全体のエネルギー管理を実現する。
発表会では、初めに取締役営業本部長の辻智之氏が「ハイエンド製品の戦略」について説明を行った。「温暖化の進行、クラウドコンピューティング市場の伸び、電力消費/コストの増加といった要因から、エネルギー効率を最適可能な管理システムが必要。企業が消費している電力の大半はデータセンターによるもの」と、辻氏は同社がエネルギーマネジメント分野に取り組む意義を訴えた。
辻氏は、エネルギーマネジメント分野でカギとなる技術として「空気調和技術」を挙げた。現在、ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers:米国冷暖房空調工業会)や「DOE」(Department of Energy:米国エネルギー省)が、この技術に関する標準化を進めているという。「今年辺り、空気調和技術は日本にも入ってくるだろう」と辻氏。
同社としてのエネルギーマネジメントに対する取り組みを製品化したのが「eco PDU」というわけだ。辻氏は、eco PDUを「データセンターにおける冷却からエアフローまで、トータルのエネルギー管理が可能な製品」と表した。
eco PDUの詳細については、企画部の栗田正人氏が説明を行った。栗田氏は、データセンターの電力使用効率を示す指標として「PUE(Power Usage Effectiveness)」を紹介したうえで、「エネルギーと環境を最適化するには、非IT設備のエネルギー使用量を減らす必要があり、非IT設備のエネルギーの約80%はエアフローと冷却に使用されるエネルギーと言われている。最近、エアフローと冷却を測定する指標として『RCI(Rack Cooling Index)』『RTI(Rack Temperature Index)』が使われ始めている」と述べた。
ASHRAEでは、ラック内の推奨室温を「18℃~27℃」、最大許容温度の範囲を「15℃~32℃」としているが、「冷やしすぎも、エネルギー効率が悪いということになり、よくない」と同氏。時間帯による温度の変化も見ていくことが大切だという。
さらに同氏は、「省エネの健全性と安全性の調和」がデータセンターのトレンドとなっているため、エネルギー管理に対する考え方を変えていく必要があるとした。この課題に対する同社の解がセンサーに対応した「eco PDU」となる。
同社はこれまで、電源分配に対応した「ベーシックPDU」から遠隔操作/電源管理/警告通知が可能な「インテリジェントPDU」と、PDUを進化させてきたが、今回、さらに電源管理/温度管理/空気管理/エネルギー管理に対応した「eco PDU」を発表した。eco PDUを導入すれば、PUEの非IT設備にRCI/RTIを導入して、有効なエネルギー削減を実現できるという。
eco PDUは4つのモデルから構成される。アウトレットが異なる「NEMAモデル」と「IECモデル」、測定単位がポートとアウトレットと異なるモデルが用意されている。最小価格はNEMAモデル/8ポートの「PE6108A」の10万5,000円(税別)。
管理ソフトウェア「eco Sensor」では、eco PDUのセンサーから温度・湿度・差圧といったデータを収集するほか、データセンター全体の電源管理、データセンターにおけるセンサーの計測値を一括管理、複数のeco PDUへのシングルサインオン、電力分析レポートを用いたエネルギー管理などを実現する。