日本HPは1月31日、2012年のスタートにあたり、イメージング・プリンティング事業の事業概要、展望、ならびに今後の取り組みを紹介するプレス説明会を開催した。
説明会で、日本HP 取締役 執行役員イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏が強調したのは、出版物がすぐにデジタルに置き換わり、紙の印刷物がなくなるようなことはないという点。同氏は、「すべてがデジタルに置き換わるというのは単純な考えで、緩やかにシフトしていくことを捕らえておくことが重要だ」とした。そして今後は、デジタルと紙が共存する社会になり、「『デジタル+紙』という新しいコミュニケーションの形が新しい市場を創造をしていく」と述べた。
このような変化に対して企業はどのように対応すべきかという点について挽野氏は、印刷会社はこれまでの受注を待つとスタイルではなく、お客様のニーズを捉え、積極的に提案していくマーケティングプロバイダ的な要素が求められ、一般企業においては、個別のユーザーニーズに応じたマーケティングが必要で、そのためには、ITを活用したさまざまな仕組みを他社に先がけて構築する必要があるとした。
具体的には、印刷会社においては、デジタル化が遅れているオフセット印刷分野のデジタル化を進め、オフセット印刷では難しかった小ロット・多品種の印刷を実現することで、新しい分野のサービスを作りだせるという。挽野氏によれば、オフセット印刷のデジタル化は、今後もっとも伸び代が大きな市場として捉えているという。
また、一般企業においては、過去の売り上げデータなどを利用し、顧客のニーズや嗜好を捉え、ユーザー個別に最適なDMを送るなどのマーケティンング活動を例に挙げた。そして、そのためのソリューションとして、同社が提供中の「HP Exstream Software」を紹介した。
HP Exstream Softwareは、パーソナライズされた文書や資料の作成、提供を効率化する企業向けソフトウェアで、すでに日本では、通販、カード会社、損保などへの導入が進んでおり、今後注力して販売していくという。
また、「デジタル+紙」の例としてクラウドサービスの活用も挙げ、昨年5月に発表した大判プリンタ向けのクラウドサービス「HP ePrint & Share」や、個人向けのストレージサービスsnapfishを紹介した。snapfishでは、フォトブックのほか、写真を利用したストラップやマグカップ、クッションなどを作成できるが、挽野氏は、これらを例に、コンシューマ市場ではマイオリジナルがキーワードになるとした。
そして最後に、HPはITとプリンティングソリューションの両方を持つ唯一の企業であり、そのような企業だからこそITを活用した包括的なソリューションを提供できるとした。