日本HPは5月23日、クラウド経由で大判プリンタを利用できるサービス「HP ePrint & Share」を発表。同時に、このサービスに対応した大判プリンタ2機種6モデルも発表した。いずれも提供開始は5月26日の予定。
「HP ePrint & Share」は、専用のクラウドサービスを利用して遠隔地にいるメンバー間でファイルを共有し、対応する大判プリンタからPCレスでの印刷が可能なサービスだ。これまで設計図などの大判データを遠隔地で共有する場合、プリントの元となるデータをメールに添付するか、プリントしたものを物理的に送付するしかなかったが、「HP ePrint & Share」を利用することでデータの共有が容易になり、送付する手間がなくなるのがメリットだ。
「昨年、コンシューマー向けプリンタにネットワーク経由でプリントできるePrintを搭載した。HP ePrint & Shareはこれをさらに進めたサービス。イノベーションはいつもHPから始まるのです」と、日本HP 取締役執行役員 イメージング・プリンティング事業統括である挽野元氏は語った。
ユーザーが無料で利用できるデータ領域は、初期設定で5GBとなっている。これを超える容量の提供方法や価格については現状は設定されていない。また、2010年11月に発売済みである「HP Designjet T2300 eMFP」シリーズも、ファームウェアアップデートによって「HP ePrint & Share」に対応する予定だ。
ファイルのアップロードやダウンロード、バージョン管理等を行うためのアプリケーションはブラウザベースで利用可能だ。そして、このアプリケーションがインストールされているPCからは、ドライバレスで対応プリンタでの印刷が行える。また、対応プリンタには4.3インチの液晶ディスプレイが搭載されており、これを利用してクラウド上のファイルを直接参照、印刷することが可能だ。
共有するユーザーはファイル単位で指定することができ、共有指定されたユーザーにはメールで通知され、メールアドレスとパスワードを入力してファイルにアクセスする方式だ。
メインターゲットは建築設計分野および測量、製造設計分野で、この分野ではCADで作成された大判図面をメンバー間で回覧し、修正を重ねながらプロジェクト完成に向けて頻繁にやりとりするのが一般的だ。
「従来はプリントした紙をバイク便や宅配便で送付していましたが、これには時間とコストがかかります。また、最近では海外など遠隔地とやりとりするケースも増えており、データ化の需要は高まっていました。HP ePrint & Shareで時間、手間、コストを削減することで、クリエイティブに注力していただける」と、日本HP イメージング・プリンティング事業統括グラフィックスビジネス統括本部ラージフォーマットビジネス本部の本部長である根本勲氏は語った。
ターゲット業界で多く利用されているAutoCADに標準対応しており直接プリントも可能だが、遠隔地でCAD環境がないユーザーともデータ共有をスムーズに行うためにはPDFを利用するのが便利だ。AutoCADから直接データを書き出す時にもPDFを指定することができる。
「CADのない環境でのプリントが可能であり、HP ePrint & Shareのアプリケーションも無料。コストをかけずに利用できるのが特徴です」と、日本HP イメージング・プリンティング事業統括 グラフィックスビジネス統括本部 ラージフォーマットビジネス本部 マーケティング部 深野修一氏。