日本HPは、ラベルやフィルム、パッケージ印刷を小ロットで実現するロール給紙型のデジタル印刷機「HP Indigo」シリーズにおいて、「HP Indigo WS4600」と「HP Indigo WS6600」の2機種を1月18日から販売すると発表した。価格は、「HP Indigo WS4600」が5,985万円、「HP Indigo WS6600」が1億2,075万円となっている。両機は、版を用いないデジタル印刷機で、小ロット~中ロットの印刷に適している。

「HP Indigo WS4600」

「HP Indigo WS6600」

「HP Indigo WS4600」は、4色印刷時は16m/分、1色または2色印刷時は21.3mの印刷が可能で、印刷面積は最大308×450mm。印刷解像度は812×812dpiおよび812×1,624dpiで、12~350ミクロンの紙厚に対応する。

Indigoのデジタル・オフセット構造

一方、「HP Indigo WS6600」は、4色印刷時は30m/分、1色または2色印刷時は60mの印刷が可能で、印刷面積は最大317×980mm。印刷解像度は812×1,219dpiおよび2,438×2,438dpiで、12~450ミクロンの紙厚に対応する。

対応するメディア

本製品では、新機能として「生産強化モード」、「ホワイトプラス」、「インラインプライミング」、「偽造防止を具現化するセキュリティ印刷」の各機能を搭載する。

「生産強化モード」(オプション)は、黒をCMYの3色合成によって表現する。これにより、インクをドラムに転写する工程をK(黒)分だけ省くことができ、より高速に印刷できる。HPによれば、4色印刷相当の最大印刷速度を最大33%向上でき、印刷速度はWS4600で毎分21.3m、WS6600で毎分40mになるという。

「生産強化モード」

「ホワイトプラス」(今春対応予定)は、透明フィルムなどに背景として印刷するホワイトの重ね塗りを不要にする技術。通常は、隠蔽度を確保するため重ね塗りが必要になるが、「WS6600」は、従来比約2倍の隠蔽度を備える白インキを新たに採用することにより、重ね塗りを不要としている。

「ホワイトプラス」

「インラインプライミング」は、印刷前の紙の下工程であるプライミングを実現するため、オプションとして、印刷ラインの中に組み込む「インラインプライミングユニット」を提供するというもの。これにより、一連のワークフローの中でプライミングを行うことが可能になる。プライミングは、紙原反に対応し、将来的にフィルム等の合成素材にも対応予定だという。

「インラインプライミング」

「偽造防止を具現化するセキュリティ印刷」では、「WS6600」に「セキュアパックシステム」をオプションで用意する。具体的には、オペレーターによる印刷データや設定情報の変更を不可能とする「ジョブプロパティロック」、偽造防止用の透かし模様を印刷する「プルーフィングモード」、印刷終了したデータを自動で削除する「自動データ削除機能」、セキュリティ印刷を行うオペレーターを指定する「権限管理機能」、データ制作から出力に至るまでの印刷設定、運転時間、原反、担当オペレ―ター情報を自動でレポートする「自動レポート機能」などを搭載する。

また、「WS4600」は、紫外線照射時にのみ赤く浮き上がる「インビジブルレッド」インキを新たに採用する。

「インラインプライミング」

イメージング・プリンティング事業統括 グラフィクスビジネス統括本部 デジタルプレスビジネス本部 本部長 石川則夫氏

日本HP イメージング・プリンティング事業統括 グラフィクスビジネス統括本部 デジタルプレスビジネス本部 本部長 石川則夫氏は、「欧米に比べ10年程度遅れているデジタル印刷機の波が日本にもやってきている。これまで、印刷物はコストという認識だったが、価値を生むものという風に変わってきており、その変化をもたらしたのがデジタル印刷機だ。デジタル印刷機は、データを形にしてお客様に情報を提供する一手段で、テレビやタブレット端末と同じだ。今日の新製品は、ラベルやパッケージを印刷するものだが、これらは商品の顔であり、ブラディング戦略などを考えるときに大きな変革をもたらすものだ」と、デジタル印刷機ニーズが今後高まっていくとの見通しを語った。


イメージング・プリンティング事業統括 グラフィクスビジネス統括本部 デジタルプレスビジネス本部 市場開発部 部長 小池亮介氏

一方、日本HP イメージング・プリンティング事業統括 グラフィクスビジネス統括本部 デジタルプレスビジネス本部 市場開発部 部長 小池亮介氏は、「ブランドオーナーのニーズには、売り上げ拡大、コスト削減、リスク最小化があり、売り上げ拡大には、少量多品種、商品の付加価値増強、ニーズに合った短期間での商品開発が必要で、コスト削減には、在庫レス、テストマーケティング、リスク最小化には偽造防止、品質保証の強化(セキュリティ、トレーサビリティ)が必要だ。これらに対して、印刷側がサポートしていく体制を整えていく必要があり、パッケージ分野市場はとくにニーズが高く、まったなしだ」と、現在のような変化が激しく、ニーズの多様化が進む時代における、デジタル印刷機の必要性を訴えた。

実際の印刷。異なるデザインの印刷がデモされた