IDC Japanは1月12日、2011年~2015年の国内産業分野別/企業規模別IT支出予測を発表した。これによると、東日本大震災や電力不足などの影響から国内景気が落ち込んだのに伴い、2011年国内IT市場はマイナス成長を予測するが、その後の復旧・復興により国内経済の落ち込みが減速し、IT支出への影響も当初の見込みより緩和されるという。

大企業(従業員1,000人以上)の2011年IT支出額は5兆7,837億円、前年比成長率はマイナス2.6%とマイナス成長を示すが、その後の経営努力により業績の悪化は緩和され、それに伴いIT支出の抑制も当初の見込みより小さくなるとしている。

中堅中小企業(従業員999人以下)の2011年IT支出額は3兆4,850億円、前年比成長率はマイナス6.3%となり、同社は大企業に比べて成長率は下がると予測している。さらに企業規模を掘り下げると、小規模企業(1から99人)のIT支出額は1兆1,410億円(前年比成長率:マイナス7.8%)、中小企業(100から499人)は1兆5,183億円(同:マイナス6.1%)、中堅企業(500から999人)は8,257億円(同:マイナス4.6%)と予測されている。

2012年は、財政支出による景気浮揚に伴い経済環境も回復傾向になることから、大企業・中堅中小企業共にプラス成長を予測。同社は、中堅中小企業については、凍結されていたシステム刷新などが再開され、2012年IT支出額は3兆5,385億円、前年比成長率1.5%に達すると見ている。大企業は中堅中小企業よりも業績の回復が進むとして、2012年IT支出額は5兆9,300億円、前年比成長率2.5%と中堅中小企業より高いプラス成長を示すと予測されている。

国内IT市場 企業規模別 前年比成長率の予測(2010年~2013年) 資料:IDC Japan

同社は、中堅中小企業で企業連携による情報共有が新商品やサービスの創造/開発に結び付くことが認識されつつあるとして、今後はプライベートクラウドの分野でコミュニティクラウドが急速に拡大すると予測している。ただし、日本の産業で大きな部分を占めている製造業と流通業ではコミュニティクラウドによって企業連携させる動きは少なく、中堅中小企業に向けた提供が重要となると分析している。