富士通研究所は12月14日、スマートシティへの展開に向けたピーク電力削減技術を開発したと発表した。同技術は、オフィスや住宅街などの使用電力、そこに分散配置された蓄電池の残量、使い方などの情報をクラウド上に収集し、クラウド上から蓄電池を統合制御することでピーク電力を効果的に削減するもの。

スマートシティにおけるピーク電力削減の実現イメージ

同研究所は、コミュニティの特性を考慮して電力需要を複数予測し、ユーザーの使い勝手を損なわずにピーク電力を削減する蓄電池の充放電制御技術を開発した。開発した技術は、「コミュニティの特性を考慮した複数パターンの電力需要予測技術」、「ユーザの蓄電池の利用用途や寿命を考慮したピーク電力削減のための充放電制御技術」。

電力需要予測技術は、コミュニティ全体の過去の電力需要の変動をいくつかのパターンに分類し、次に、予測時点までの電力需要の変動から、起こりうる可能性の高い電力需要パターンに絞り込み、さらに補正をかけて予測を行い、予測した複数の電力需要をもとに充放電スケジュールを計画するというもの。

充放電制御技術では、クラウド上に収集したユーザーごとの使い方や各蓄電池の残量などの情報に基づいて、ピーク電力の削減量だけでなく、各蓄電池の充放電による残量の変動も考慮した充放電スケジュールを計画する。これにより、ピーク電力を削減しつつ、放電で残量がなくなってユーザーが使いたい時に使えなかったり、特定の蓄電池だけを充放電させて寿命を縮めたりすることを回避する。

同研究所では、オフィスをスマートシティにおける1つのコミュニティとし、ノートPCの内蔵バッテリをコミュニティ内に分散配置された蓄電池に見立て、オフィス全体のピーク電力を削減する実験を行った。実験では、オフィス内の使用電力やノートPCのバッテリ残量、ユーザごとの使い方などの情報を、ネットワークを通じてクラウド上に収集し、クラウド上で収集したデータをもとに、オフィス内の電力需要を予測し、オフィス全体のピーク電力が削減されるよう各PCのバッテリを充放電させるスケジュールを計画して、それぞれの充放電スケジュールを通知した。

実験の概要

その結果、オフィス(約40名)で一部のノートPCを使った実験でピーク電力を削減できることを実証した。その結果を踏まえ、オフィス内の40台のPCをシミュレーション上で統合制御したところ、約10%削減できることを確認した。

実験のシミュレーション結果