10月11日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2011年上半期(4月から9月)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では5,726件/1兆8,855億1,700万円、商工リサーチの発表では6,420件/1兆9,758万6,300万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2011年上半期の全国企業倒産の件数は、前年同期の5,751件を0.4%下回り、2年連続の前年同期比減少となった。しかし、減少幅は縮小しており、ほぼ横ばい。半期ベースで見ると、2009年度上半期以降、5期連続して前期を下回り、四半期ベースも2期ぶりの前年同期比減少となるとともに、2010年度第2四半期以来4期ぶりに前期を下回った。

2011年上半期の全国企業の負債総額は、半期ベースで2期連続の2兆円割れとなり、過去10年で最小を記録した。四半期ベースでは、4期連続の前年同期比減少となったが、2010年度第2四半期以来4期ぶりに前期を上回り1兆円を超えた。

年半期別全国企業倒産件数 資料:帝国データバンク

年半期別負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、小売業とサービス業を除く5業種で前年同期比減となった。最も多かったのは、構成比27.3%の建設業(1563件、前年同期比1.3%減)で、減少率では不動産業(7.8%減)、運輸・通信業(7.3%減)、製造業(6.1%減)と続いた。

倒産動向の注目点としては、「円高関連の倒産」と「返済猶予後の倒産」が挙げられている。2011年度上半期に円高の影響を受けた倒産は28件判明しており、2010年度上半期(23件)に比べて21.7%の増加となった。8月(8件)、9月(10件)と2ヵ月連続で今年最多を更新しており、同社は年末にかけて関連倒産の増加を予想している。

商工リサーチの調査結果

2011年上半期の倒産件数は、6,555件だった前年同期に対して2.0%減で、上半期としては3年連続で前年同期を下回った。水準としては、過去20年間で2005年度(6,388件)に次いで2番目に少ない件数だった。

この要因としては、金融機関に返済猶予を促す「中小企業金融円滑化法」や「セーフティネット保証5号」に加え、「東日本大震災復興緊急保証」などの政策効果が挙げられている。さらに、東日本大震災で寸断されたサプライチェーンの復旧が予想以上に進み、中小企業の業況が持ち直してきたことも一部影響したという。

2011年上半期の負債総額は、2兆7,673億9,500万円だった前年に対し28.6%減となり、年度上半期としては1990年度(7,925億8,100万円)以来、21年ぶりに2兆円を下回る低水準になった。

10億円以上の大型倒産が同20.8%減の217件(前年同期274件)となり、特に100億円以上が同45.0%減の11件(同20件)と大幅減少となった。これに対し1億円未満の倒産は、同0.5%増の4,376件(構成比68.1%)で、年度上半期倒産の約7割を占めるなど、小・零細規模が中心に推移した。

企業倒産 上半期の推移 資料:商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、8産業で倒産件数が前年比減少となった。増加したのは、農・林・漁・鉱業の12.9%増(54件→61件)とサービス業他10.6%増(1,290件→1,428件)の2産業。

主要産業倒産件数 上半期の推移 資料:商工リサーチ

地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち5地区で前年同期を上回った。減少したのは、四国(22.8%減、175件→135件)、東北(18.1%減、286件→234件)、関東(4.9%減、2,511件→2,386件)、近畿(3.1%減、1,797件→1,741件)の4地区だった。