Firefox web browser - Faster, more secure & customizable

Firefox 4のリリースで長期に渡って開発中だった機能をユーザに届けたMozillaは、そのあとリリースエンジニアリングを変更して6週間という短周期での強制アップグレードシステムを実現させた。Mozillaは次の取り組みとして、今後数年間に渡ってFirefox開発の指標となるビジョン策定を進めている。Firefoxビジョンは「Mozilla in the New Internet Era - More Than the Browser」からもチェックできる。

新しいビジョンを策定する理由として、すでにインターネットを利用するアプリケーションがブラウザにとどまらないこと、iPhoneやAndroidなどスマートフォンの登場、iPadなどのタブレットデバイスの登場で、ソフトウェアもハードウェアも大きく変化しつつあることを指摘している。Mozilla設立の目的である、ユーザに優れた体験を提供するということを実現させるには、こうした状況変化をとらえて新しいビジョンをまとめる必要があるという。

現在発表されているビジョンは概念的な内容が多く、具体的なプロジェクトや計画については触れていない。しかし、すでに登場しているMozilla Labsでの取り組みや、すでに発表されている内容を加味すると、どういった方向を模索しているのかはわかる。

まず、Mozillaは、向こう数年間に渡ってAndroidが重要なプラットフォームになると見ており、Android版Firefoxの開発に注力する方針を示している。

また、スマートフォンやタブレットからブラウザではなくアプリを使ってインターネットやサービスを利用するという「体験」が重要なポジションを得ていることに大きく注目しており、Firefoxにおいてそうしたアプリと同じ体験を提供できるようにする計画であることがわかる。アプリ体験を提供するという取り組みは、先日リリースされたWebアクティビティ・Webディスカバリからもわかる。

加えて、ソーシャルサービスにも大きく注目しており、異なるソーシャルサービスをどうやって接続し、シームレスにそれらサービスを統合できるか模索していることも興味深い。先日発表されたログイン方式BrowserIDは、こうした異なるソーシャルサービスをシームレスに統合する目的へ向けたひとつの技術ということになる。

Firefox 4がリリースされるまで、ほかの主要ブラウザの動きと比較して後手に回っていた感があるMozillaだが、短周期リリースに切り替えてからは積極的に新しい方向性を模索し、興味深いプロジェクトの発表を続けている。新しいビジョンの発表も興味深い内容になっており、今後の動向が注目される。