日本アイ・ビー・エムは7月6日、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通じてチームメンバーが成果物や進捗状況を共有してスムーズな協働作業を行う「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント」を実現する3製品の最新版と、設計に関する情報を開発メンバーと共有する「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント」を実現する2つの新製品を発表した。
理事 ソフトウェア事業Rational事業部長の渡辺公成氏は、「現在、ソフトウェア開発プロジェクトでは、工程ごとにツールが導入されバラバラに管理されているほか、各工程や組織において十分なコミュニケーションが図られていない。例えば、オフショア開発では、海外企業に要求仕様を理解してもらう仕組みが整備されていないため、仕様とは異なるモジュールが出来上がり、テスト工程で手戻りが発生している」と、ソフトウェア開発プロジェクトにおける課題を指摘した。
こうした課題を解決すべく、同社が発表した製品群が「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント」と「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント」だ。いずれも、開発工程・組織・地域・インフラなどにおけるサイロ化を解消することで、生産性の向上を実現する。
コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメントを構成する製品は、要求定義を改善・効率化する「IBM Rational Requirements Composer」、作業管理や構成管理を行う「IBM Rational Team Concert」、テスト管理と品質管理を行う「IBM Rational Quality Manager」。今回の発表に伴い、いずれもバージョンアップが行われた。
コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメントは、開発工程のうち、要求・開発・品質の作業環境を統合し、工程間のコミュニケーション・ロスによる納期遅延、コスト超過を防止する。Rational Team Concertにはソーシャル・ソフトウェア「IBM Connections」が統合されており、開発者以外の人との協働作業にも対応できる。
デモでは、要求・開発・テストの各工程に関わるチームのやっていることを一画面で把握できる様子、モデル間や要素間の連携の可視化などが披露された。
一方、コラボレーティブ・デザイン・マネージメントを構成する、組込みシステム開発向け設計管理ツール「Rational Rhapsody Design Manager」、ITシステム開発向け設計管理ツール「Rational Software Architect Design Manager」は新たに開発された。両製品により、設計に関する情報を関係者で可視化/共有することで、すり合わせのための工数の削減が実現される。
デモでは、設計者とリーダーがWebブラウザを用いてリアルタイムでディスカッションを行い、リーダーがコメントを付与してレビュー結果を伝える様子が披露された。
販売施策として、7月末より、同社のクラウド環境において30日間の無償トライアルが提供される予定。