セミナーに登場したFOXインターナショナル・チャンネルズ 曽根正輝氏

アドビ システムズは、東京 六本木アカデミーヒルズにて「CS5.5 VIDEO DAY」を開催した。セミナーでは、「Adobe Creative Suite 5.5」によって進化した「Premiere Pro CS5.5」と「After Effects CS5.5」の新機能や、「3D字幕制作ワークフロー」などが紹介された。

「3D字幕制作ワークフロー」と題された講義に登壇したFOXインターナショナル・チャンネルズの曽根正輝氏は、同社における「CS5.5」の運用方法について紹介した。FOXインターナショナル・チャンネルズは、現在7つのチャンネルを持つ放送局で、映画やドラマ、ドキュメンタリーなど、数多くの人気コンテンツを持っている。曽根氏によると、大部分の番組は、制作から送出までファイルベースで行なっている。東京のオフィスで行なっている主な作業は、海外から送られてきた番組への日本語字幕の挿入、プロモーション映像の制作などとのこと。

3D番組に日本語字幕を加えるワークフロー

曽根氏が力を入れて取り組んでいるのは、3D番組のニーズが高まる将来を見据えて、3D映像にテロップを入れるための実験とのこと。会場ではナショナル ジオグラフィック チャンネルが制作した『The Eye 3D』という番組に、日本語字幕を入れたデモ映像が紹介された。映像に挿入されている字幕は、さまざまなフォントや色で作られていたため、見やすいと感じるものもあれば、見にくいと感じるものもある。曽根氏は「来るべき3D放送に向けて、最適な字幕を模索している最中だ」と語る。なお、この制作に使ったメインツールはPremiere Pro CS5.5で、字幕の3D化にはシステム計画研究所(ISP)が開発したプラグイン「3D Title」を利用しているとのこと。

画面右上のプレビューを見ると、映像はサイド・バイ・サイドの3D素材なのに、字幕だけが2Dなのがわかる

ISPのプラグイン「3D Title」を使うだけで、字幕が3D化される

曽根氏は「Premiere Pro CS5.5を採用している最大の理由は、AAFファイルをネイティブサポートしているところ。その他にも『After Effects』や『Photoshop』との親和性が高かったり、『Encore』を使ってBlu-rayにバックアップできるところも魅力的」と語っていた。

字幕を入れて編集が終わると、レンダリングの作業に入る。「CS5.5」ではレンダリングも高速化されたため、制作時間の短縮が図れる

アナグリフで作った3D映像に、立体化した日本語字幕を挿入している