KDDI研究所は、M2M通信のためのデータ転送技術「すきま通信」を開発したことを発表した。同技術を利用すると、ネットワークやサーバの負荷が低い時間を見つけて通信を行い、設備の利用効率を高めて不要な増設を抑制できるようになるほか、自律分散型の制御であるため、災害などの想定外の事象が発生した場合にも安定した動作で、アクセス集中によるネットワーク輻輳やサーバダウンを回避することができるようになるという。

同技術は、各種機器に組み込まれた通信モジュールが自らネットワークやサーバの利用状況を学習し、こうした設備が比較的空いている「すきま」時間を見つけ出して通信を行う技術。通信モジュール自らが通信時のスループットやサーバのレスポンスを基に設備の負荷が少ない時間を見つけ出して通信するほか、すぐに送信する必要のないデータに関して転送のタイミングを調整し、アクセス集中を避けて設備増強コストの抑制を行うものとなっている。

「すきま通信」の動作イメージ

特に、通信モジュール自らが設備の利用状況を学習しているため、端末数が増えたり新しい通信サービスの導入により設備の利用状況が変わった場合にも柔軟に対応して「すきま」時間を見つけ出すことができるほか、回収が難しく長期に渡り稼働する機器などに組み込む場合でも、将来の環境変化に適応して設備利用効率の向上を図ることができるという。

さらに、ネットワークやサーバの負荷を自律的に平準化してピークを抑制することで、設備コストの削減、集中アクセスに対するサーバ保護、データ転送やサーバ稼働の省電力化、運用の簡易化を実現することが可能となっている。